元証券営業マンの本音で語りたいこと

元証券マンとして証券営業の実情から投資信託や株式のことなども本音で語っていくブログです。

たった一人のお客さんで成績が変わる証券営業で逆転が起きない理由

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証券営業は、たった一人のお客さんで、大きく成績を変えることができます。

太いお客さんを作って売買を繰り返すことができた場合、ものすごい変化率を叩き出すことができるのです。

 

しかし、なぜか年間で営業成績の大きな変動が起こり辛いです。

一時的なものになってしまうのですね。

 

今回は、「たった一人のお客さんで成績が変わる証券営業で逆転が起きない理由」を説明します。

 

営業成績が大きく変わる理由

まず、たった一人のお客さんで成績が変わる理由から紹介します。

 

私の経験した証券営業で、最も手数料が上がる回転売買の方法は、外国株式を店頭取引きで売買する方法です。

 

店頭取引きで外株を売買すると、売りと買いの手数料を合わせて4%の手数料が入ります。(私の会社では)

500万円で20万もの売買手数料が入るのです。

 

同じ500万円の運用でも、投資信託を買い付けた場合は、多くて3%ほどですので15万円の手数料が入るのですが、回転売買するまで一定の時間がかかりますし、社内ルールで半年から1年などの期間、売買をできないシステムになっていたりするので、「手数料をあげる」という意味において、最も効率の良い運用方法は、外株を扱うことでした。

 

株なら、次の日に10%の値上がりをすることもあり得ます(決算や材料によって)。

その場合、4%の手数料を支払っても、6%の利益が出るので、買った次の日に売買することも可能になります。

20万×2=40万

ということです。

もし、1000万円なら二日で80万。

 

これは、極端な話をしているのではありません。

これくらいなら年間に何回かあります。

 

今回は、「手数料を上げる」ことを説明しているので、この方法がどう思っているのかについての言及を控えます。

言いたいことがあり過ぎて、テーマを離れてしまうので、そこをご了承ください。

一言だけ残しておくとしたら・・・

「使い方によっては凶悪な手数料獲得方法だ」

ということです。

 

話しを戻しましょう。

 

外国株を扱う顧客を獲得した場合、とんでもない手数料の変化率が期待できます。

1500万円の顧客で、売り買いが月間で3回あれば180万の手数料。

これは入社2年目~3年目の社員では月間の手数料にも匹敵する成績です。

それがたった一人の顧客によって、達成可能ですので、成り上がりたい証券マンに取っては夢のある話です。

 

では、なぜ年間成績で逆転が起きにくいかを説明していきます。

 

証券マンで逆転が起きない理由

証券マンの世界では大器晩成は非常に少なく、若手の頃に頭角を出した社員はそのまま伸びていくことが多いです。

いくつかその理由を紹介します。

 

資産管理は慣れないと難しい

顧客の資産管理は、なかなか難しいことです。

自分の勧めた銘柄が下がれば、その説明を丁寧にして、損失でも売らないといけないものは売ってもらわないといけません。

例えば、想定外の悪材料が出た時ですね。

 

もし、買った次の日に大きな見通しの変化が予期される悪材料が出た時、できない営業マンは基本、放置します。

方やデキる営マンは、すぐに顧客のアポを取るなりして、対処を考えます。

 

怒られることもありますし、「もうやめたい」とかの話が出ることもあって、簡単なフォローではありませんが、それを上手くコントロールするのができる営業マンです。

 

デキない営業マンは、放置した結果、売るに売れない含み損を抱えさせ、クレームに発展したり、結局フォローが出来ないことで、顧客は離れてしまうことになり易いです。(最初は損切りさせることができても、2・3回連続したりすればすぐに逃げてしまいます)

 

顧客の資産を管理していくのは、難しい技術であり、理屈が分かっていても、相手が自分よりも目上の「人」ですから、簡単ではないのです。

 

成績が一時的に上がっても、年間などのベースで逆転できない理由の一つです。

 

お金持ちの扱い方

お金持ちの方の考え方や感性は、一般的なものと違う場合が多いです。

また、社長さんなどは拘りが強い人も多く、例えば待ち合わせは丁度の時間に来ないと応対してくれなかったり、良かれと思って5分前に行ったら怒鳴られたりすることもあったりします。

そこら辺の確認や、癖をすぐに見抜くこともまた技術です。

 

大きな顧客を持つこと自体は、巡り合わせの関係で、誰にでも訪れるチャンスですが、扱い方を知らないと維持できません。

そういう人はだいたい他社と取引があるので、一瞬こちらを向いたとしても、引き付けることができないので年間の成績に寄与してくれないのです。

お金持ちの扱い方は、お金持ちと接し続けて養われるので、できる営業マンとの差が開き易いところです。

 

損失にビビる

100万円の投資で10%損をしたら10万円の損です。

これは、誰でも想像が可能な損失でしょう。

しかし、1000万では10%の損で100万円になってしまいます。

この損失が買った次の日に起これば、そのショックは想像できますか?

もし、自分がそれを勧めていたとしたら…。

 

できる営業マンは、顧客の信頼を得て、売買のロットが増えていくので、若い頃から100万単位の損失を出すことを経験します。

怒られることもあれば、逃げていく顧客もいて、色々な経験をすることで、どのような対応が求められているのかを学ぶことになり、それが活かされていきます。

 

しかし、そういったことを経験していない営業マンは、100万の損にビビりまくります。

厳しい顧客の場合は逃げてしまって、電話が出来なくなる営業マンも多いのです。

一時的に手数料を上げることができても、いずれくる損失にビビってしまって、扱うロットが手に負えなくなる営業マンが普通にいます。

 

募集商品で追い込まれる

ここまではいきなり500万とか1000万で外株をやってくれるお客さんができた場合をメインにお話をしていましたが、そのお客さんを作ることもまた技術なんです。

 

顧客にはポテンシャルがあります。

お金持ちなら100万くらいの売買は、お付き合い程度であり、それくらいならどうなっても良いと考える人は世の中にゴロゴロいます。

 

それを見抜く力も必要ですし、売買が好きな顧客はそのニーズに合った提案をする必要があります。

それに気付けないで、募集商品を勧めてしまって付き合い程度のロットにしてしまたりすることが多くなります。

 

また、定期的にやって来る募集商品で追い込まれることが多いのが、できない営業マンの特徴です。

 当然ながらできる営業マンも苦労しますし、追い込まれることも度々ありますが、日々の手数料を頂く顧客から募集商品に変えることはしません。

つまり、外国株のお客さんを募集商品(新発投信や外債)に変えることをせずに何とか他の顧客でやり切り、ピンチになっても日々の手数料が下がらないように工夫をします。

 

一方、できない営業マンは、信頼してもらっている顧客が少ないので、せっかく太い顧客から一か月に何度も手数料が貰えるシステムを作ったとしても、目先だけを気にして募集商品に預かり資産を固定化してしまい、手数料を稼ぐシステムを自ら壊してしまいます。

 

「それ外債にしちゃったら、毎日の手数料どうするんですか?」

何度か先輩に確認したことがあるのですが、

「しょうがないよ。やらなきゃいけないもの(募集商品)があるから」

という返答をする人が多くいました。

 

追い込まれるということは、どんどん目線が足元になってしまうので仕方ないことですが、自分のお客さんを上手く配分できずに、年間の成績をが逆転できない理由を作ってしまう人が多くいたのは、いつも本当に残念に思っていました。

 

長期的な見通し

営業の仕事は、現在の仕事と未来の仕事を二つ同時に行わないといけません。

今、調子よく仕事をしていても、1ヶ月先、3ヶ月先はどなっているかわかりません。

 

相手が人である以上、即効性のある施策が少ないので、長期的な見通しを持って仕事をするべきなのです。

 

しかし、大きな顧客ができ、一時的でも成績が向上すると、できない営業マンはすぐに仕事をさぼってしまいます。

確かにその月や次の月は、それでも良いのですが、証券の世界は客が損をすることもあり、それによっていきなり自分から離れていってしまうこともある世界です。

いずれやって来る損失に適格な営業をするためには、他のお客さんで対応するべきですが、それは未来の仕事をしていた営業マンだけが持つ選択肢であり、それをやっていなかった営業マンは、つい特定の客に無理をさせ、信頼を裏切ります。

 

調子の良い時ほど、先々の仕事をしないといけません。

少ない顧客でやろうとすると、どうしても特定の顧客に無理をさせ、早期に潰してしまうのです。

ぽっと太い顧客を手にしても、年間の成績が逆転できない理由の一つです。

 

まとめ

以上、たった一人のお客さんで成績が変わる証券営業で逆転が起きない理由を説明しました。

 

まだ説明するべきことが残っていそうですが、あまり細かい話はまたの機会にしようと思います。

 

なるべくイメージし易いようにと努めましたが、分かり難いところがあったかもしれませんね。

ちょっとテーマが広かったような気がしました。

 

仕事は何でもそうですが、「これをこうしたら一変する」ということが少ないと思っています。

仕事の差がつくポイントは限られていても、そこに作用するポイントはかなり多岐に渡るものが存在しています。

 

証券営業の世界は、ホームランが存在しますが、出会い頭の一発は流れを呼べないように、仕事を大きく変える要素にするのは、その人の変革が必要です。

大変な世界ですが、改めてまとめていくと面白い世界だなと思います。

営業の世界で働く人が呼んでくれた時、少しは参考になることが書けていれば本望です。

 

 

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