元証券営業マンの本音で語りたいこと

元証券マンとして証券営業の実情から投資信託や株式のことなども本音で語っていくブログです。

経験から思う証券営業員と顧客の関係が悪化する理由

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最初に伝えていくべきことは、普通に証券会社の営業マンと付き合っていたら絶対に利益を取ったまま撤退することはできません。

 

経験上、断言できる事実ですね。

 

それはなぜなのか、順を追って説明していきましょう。

 

証券マンが本当は目指したい関係

証券会社の営業マンが考えていることを想像して投資判断をされていますか?

相手は、それで生活を支えているプロです。

ということは、お客様と対峙する時に、収益を考えずに接することは基本的にありません。

正確に言えば、収益のことしか考えていないわけではなく、全ての接触を収益へと変えていこうと努力をするという意味です。

世間話だけしかない接触も、フォローだけの電話も、全てはいずれやってくる収益チャンスを正確に捉えるための手段の一つです。

では、証券営業マンはお客様の資産がどうなっても良いと考えているかというと、全く持って誤解です。

それは、関係の構造上あり得ません。

なぜなら、投資パフォーマンスを提供することで、お客様の信頼を得て、その結果証券営業マンの成績が上がるからです。

そう、証券担当者は、お客様に支えられて生活をしていると言うことです。

証券マンは客なんてどうでもいいんだと思われているかもしれませんが、その誤解は、その証券マンの生活を考えるとすぐに解けるでしょう。

客の立場で考えても、有益な情報を提供し、アドバイスを聞いたら儲けが出るから、お金をその会社へと流すわけです。

客は、ちゃんと利益を上げてくれる見込みを感じるから話を聞こうと思いますし、それが現実になるからお金を流すということです。

よって、証券マンが理想としている関係は、WIN×WINの関係であることは理解できると思います。

 

ノルマがきつ過ぎてしわ寄せは

お客様と良好な関係を築いていきたい証券営業マンは、ノルマと言う壁に当たります。

これが何と毎日どころか、2・3時間おき程です。

ノルマを比較的余裕のある状態でクリアできる確率は、経験則で月間2割いるかいないかの営業マンで、しかもそれは月ごとに相当入れ替わります。

毎日余裕で営業活動した私の経験は、全体の10%程です。

ちなみに私の成績は同期でもトップ水準でしたから他の同期がどうやって暮らしているのか、考えただけで気持ちが悪くなったのを覚えています。

つまり、ほとんどの状態をハァハァしながら過ごすことになるのが証券営業マンの日常です。

これが、証券営業員と客との関係をありえないほど悪化させます。

収益が上がらずに、ノルマが達成できなければ、無理な商いが増えることになるからです。

普通にやっていてノルマが達成できないのですから、無理をするんですね。

営業マンが無理するということは、客を無理させることと同じ意味になります。

これが、証券営業マンと客の関係を考える上で、前提となる一定の事実です。

 

客の無理とは

ノルマ達成の一番簡単な方法は、今ある株式なり投資信託を売って新たな銘柄を買い付けてもらうことです。

その時、皆さんだったらどのようなお話をされた時にアドバイスに乗ろうと思いますか?

 

これには大きな部類で分けて2つあります。

一つは、今持っているものが悪くなるから新たなものを買い付ける必要があるという提案です。

誰だって、これから自分の資産が減るかも知れないと言われれば嫌なものです。

持っている株や投信が悪い状態になるなら売るしかないと考える投資家はそれなりに出てきます。

その結果、担当者はノルマを達成するための収益を手にします。

 

二つ目は、新たに買って欲しい商品を買うために利益が出ている商品の売却を勧める方法です。

良い商品を提案されたら、買い付けてみようかなと思う客がでてきます。

しかし、お金は出したくない。

その時に持っている商品を売却して新たな良い商品を買うわけです。

どちらかと言うと、一つ目の手段を組み合わせるのが無理をする時の特徴ですが、こちらの方が提案は前向きですので、本当に追い込まれれば、まず持っている商品をボコボコに言って乗り換え意欲を刺激することが多いです。

無理をするということは、このどちらの場合も、今持っている商品を売る必要がないのに提案する必要に迫られているということです、

新たな買い付けの商品は、なるべく儲けを出してほしいですが、手数料の高い商品の中から選びぶ傾向があって、少し矛盾しています。

 

 

そんな状態で営業を続けたら

最初に書いたように、本当は信頼を得るために利益を出したい証券営業マンですが、無理をしなくてはいけないことが多くなると、当然客は離れていきます。

それは、儲けている商品からの乗り換えが無くなっていくからです。

どういうことか説明するには、客の立場で考えると簡単です。

乗り換えを提案された時、どのような状況だったらその提案に乗りますか?

多くの人の答えは、「儲かっていたら」と考えるのではないでしょうか。

証券マンは、生活がかかっていますから、無暗に客の信頼を失うわけにはいきません。

ですから、儲けの出ている商品から乗り換え案件を考えていくのです。

その結果、どんどん儲けの出ている商品が、ノルマ達成度合いの悪化によって減っていくことになります。

ここまで追い込まれると、今度はもうなりふり構いません。

狙うのは、気の優しい客だったり、既に信頼関係が出来ている、本来生活を支えてくれている客へと矛先を変えていかざるを得なくなります。

そうして、そんな客まで失った仕事のできない営業マンは淘汰されていくことになります。

そしてそんな担当者がついてしまった客は、身ぐるみをはがされるほど、売買を繰り返すこともあるほど、収益が悪化していくことになってしまうのです。

 

 

今回は、経験から思う証券営業員と客との関係にフォーカスして書いてみました。

ちょっと怖いなと思う内容だったと思いますが、もちろんこれがすべてではありません。

しかし、証券営業マンが心の中で思っていることとは裏腹に、客との関係を良好に保っていくのは、会社の収益との兼ね合いで非常に困難な背景があります。

知っておいて欲しいことです。

 

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