元証券営業マンの本音で語りたいこと

元証券マンとして証券営業の実情から投資信託や株式のことなども本音で語っていくブログです。

自分の資産を守ってくれるのは誰?転勤で頻繁に変わる証券担当者

 スポンサードリンク

f:id:Brightfuture:20141012165352j:plain

証券営業を語る上で、外せないテーマが「自分の資産を誰が守るのか」、そして

なぜ担当者は変わるのか」です。

 

ここにも対面営業の意味を著しく低下させる要素があります。

じっくりと語っていくことにしましょう。

 

自分の資産は誰かが守ってくれるの?

f:id:Brightfuture:20141012170047j:plain

答えはすごく簡単ですね。

自分の資産は自分しか守ることはできません。

 

これは制度の問題からも説明が可能です。

 

証券営業マンは顧客の資産を勝手に動かすことはできません。

特に現在は、金商法の影響から顧客との電話の会話は全て録音されており、注文は外で話がまとまったとしても必ず会社に戻って電話で注文を確認するか、出先から会社に電話をかけ、そのお客さんと電話を変わり、他の誰かに注文を確認しないといけない状況になっているほどです。

 

たまに、担当顧客から信頼してもらうと「もし何かあったら適当にやっといて、私はいいから」なんて、担当者冥利に尽きるお言葉を頂いたりしますが、そんなことをやれば即刻法律違反で首だけではすみません。

 

この話は概念的な意味合いで確認のためにしたに過ぎませんが、自分の資産を自分で守らないといけない大きな理由の一つではあるでしょう。

 

次に、もっと現実的な理由です。

証券会社の営業現場を赤裸々に告白~就活生は参考に - でも触れていますが、証券営業マンと顧客の関係は、顧客に取って好ましい方向へ行かないことが多くあります。

その証券マンの生活を支えているのは紛れもなくその顧客からの手数料なわけですから、顧客のことばかりを考えて営業活動をすることは実質的にできません。

 

ということは、営業マンは自分の資産を守ってくる存在ではないと考えるべきだということは、この説明でお分かり頂けると思いますが、この先に怖い話があります。

 

人が一番行動を取り易い時ってどんな時だと思いますか?

自分の身に危険が及んだ時です。

確かに身が竦んでしまって動けないこともあろうかと思いますが、基本的には危険を感じると逃げる行動を取りますし、命の危険であれば足掻くはずです。

 

これを利用しようとする営業テクニックがあります。

それが「あなたの資産を守りたい」という基本姿勢を見せながら繰り出すことで、顧客の売買意欲を煽り、自己の手数料を稼ぐわけです。

 

よって、現役担当者に自分の資産は誰が守ってくれのかですか」と質問すれば、「私がお守りできるように担当させて頂きます」と返ってくるはずです。

 

そしてそれを利用しようとします。

資産を守るためには、「〇〇から〇〇へ商品を移さないと損失が拡大してお守りできません」といった具合です。

その上で、「今運用を止めてしまうのはもったいない、損失をカバーできる商品があります」と続けていくのです。

 

自分の資産は自分で守るしか方法はありません。

特に、証券会社の収益構造を考慮すれば、守るどころかいいように使われる可能性があることを自覚するべきでしょう。

 

せっかく良い人に出会えたのにその人は去っていく

f:id:Brightfuture:20141012170205j:plain

ここでは何とでも言えると思って信じてもらえないかもしれませんが、私はなるべく顧客の信用を裏切らないように営業活動を行っていました。

 

信頼を得ることを優先して紹介案件を増やすことで、回転売買をせずに他の営業マンより成績を上げることで、追い込まれることをなるだけ回避してきました。

 

それでもどうしようもなかったことはいくつかの期間であったのは事実ですが、私が担当した顧客はラッキーだったと今でも考えています。

 

その状況を知っている上司からはよく、「もっと手数料上げられるんだから、目標以上やってくれ」とよく言われてプレッシャーと闘っていました。

 

逆に言えば、それだけ無理をさせることが私にはできなかったとも言えます。

向いていたのか、向いていなかったのか非常に微妙な話ですね。

 

この話を出したわけはここからです。

 

そうやって何とか守っていた顧客ともお別れの時を迎えます。

そうです。

転勤が証券マンには宿命づけられているんですね。

 

理由は、金融業であるため、過度な顧客との馴れ合いからトラブルになることを避ける意味が大きな理由です。

他にも証券会社特有の考え方も手伝っているのですが、それはまた別の記事としていずれお話しましょう。

 

話を戻して、私の転勤によって新しい担当者がつくことになった顧客たちのその後についてご説明します。

 

私の引き継いだ先輩は、できない営業マンでした。

年の差は何と10以上。

 

通常、各営業マンレベルで担当する顧客の預かり資産はほぼ同等となるように支店としては配分する傾向があります。

経験があって実力を持つ人ほど大きな預かり資産を担当して、その分の手数料を求められるわけですね。

 

だから、10以上の年の差の引継ぎなんて本当はあり得ないはずなんです、

しかし、支店長は言います。

「手数料上位5人のお客さんは抜いてから引き継いでくれ」。

耳を疑う話です。

ただでさえできない営業マンに手数料上位5人を抜いて引く継ぐなんて殺人行為です。

 

しかし、私がそんなことを思っても、これは完全なる業務命令。

その新たにやってきた営業マンが仕事ができないのに努力してこなかったから悪いわけです。

私は命令のまま引き継いで支店を離れました。

 

その後に私の大切な顧客たちがどうなってしまったのかを、転勤先から内線で確認すると、読者の方も予想しているとは思いますが、大変なことになっていました。

 

言うことを聞く顧客からどんどん無理をさせて顧客を潰しまくっているということです。

本当に悲しい話で、お酒なしでは眠れない感情になりました。

 

ここでの問題点は2つです。

 

まず、なぜ担当者が変わったのに、潰されていった顧客たちは信じてしまったのか。

 

取引先である会社を一つの単位として関わっていかなければならない制度が多い中ですから、構造上の問題ともいえるのですが、今回の対象は命の次に大事なお金のことです。

いくらなんでも軽率な態度であると言わざるを得ません。

 

次の問題は、その担当者ができない担当者で、それが顧客たちからすれば自分についてしまった悲劇です。

 

できない担当者は、自分のことしか考えることができないように上から追い込まれます。

ここら辺はスポーツより余程シビアにやられるので、そうなった結末は辞めるか、善意を捨てるかです。

 

しかもでいない営業マンは基本的にはできるようにならない傾向が強いため、無理に無理を重ねていくことになり、その結果顧客はボロボロにさせられてしまいます。

 

こういった点からも、やはり証券会社の担当者が自分の資産を守ってくれると考えるは幻想だと気付かれるでしょう。

 

正し、最後に挙げた点だってどこか早いタイミングでその顧客たちが「この人はダメだ」と気付いて、自ら行動していけば防ぐことができました。

その事実には目を瞑るわけにはいかないでしょう。

 

今回挙げたこと全てに言えることですが、しっかり自分で自分の資産を守る自覚と覚悟があれば、どうにかできることばかりです。

 

早く気が付いた人がこういったことでも、もちろん投資においても有利にことを進めていきます。

まだ対面営業を利用しているのなら、その利用方法は考えて欲しいと思います。

 

関連記事: