元証券営業マンの本音で語りたいこと

元証券マンとして証券営業の実情から投資信託や株式のことなども本音で語っていくブログです。

人はランダムな報酬に弱い|それでも証券会社に顧客がいる理由

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ある実験のお話を先に、させて頂きます。

ランダム報酬が行動に与える影響を考察したものについてです。

 

ある猿に餌を与える時の実験ですが、あるアクションを教え込み、それができればサルにご褒美として餌を与えます。

 

それを何度も繰り返して、そのアクションと褒美をもらえることが関連していることを認識させた後、そのアクションをしても餌をあげなくなると、すぐにサルはそのアクションをすることが無駄な行為だと理解して、止めてしまいます。

 

しかし、ご褒美をランダムにしたらこの話は全く違う話に変わってしまいます。

そのアクションとご褒美がどのように関連しているのかわからなくなるため、無駄な行為とは受け止めず、さらご褒美がもらえた時の嬉しさが倍増することによって、ずっとご褒美を期待してそのアクションを続けてしまうのです。

 

サルの実験だとバカにできないことを私は証券営業の世界で実感しました。

顧客の行動を説明していきましょう。

 

損益はトントンで時々儲かるランダム報酬状態の顧客の態度

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この場合が、上で挙げたランダム報酬状態です。

結果をみれば、無駄かどうかわからないけどランダムに報酬はある。

 

この時に、顧客に逃げられる営業マンははっきり言って仕事ができません。

全くセンスが無い営業マンだと言えます。

 

ランダムで報酬があり、尚且つ顧客に損させているわけでないから、しっかりコミュニケーションが取れていれば、普通の顧客は取引を続けます。

 

もちろん、顧客とサルを同列に並べてはいけません。

顧客の知的レベルは基本的に世間一般の水準に比べて決して低くはないです。

 

色々な背景の話や取引をしていくことでどのような効果があるか等、証券営業マンもしっかりお話をして繋ぎとめることが重要であり、ランダムでも報酬を受け取ってもらえるように努力することは大切なことです。

 

しかし、ランダムな報酬を前に損が無い状態で、取引を続けさせることは、他の状況に比べて明らかに簡単なことであるのは事実です。

 

利益を出せば、単純に喜んでもらい、損失があれば、その前の報酬でペイできていることを伝えた上で、その先にある報酬に夢を見てもらうことで、営業マンとして普通の能力があれば、その顧客から注文は取れます。

 

儲かっているのは、証券会社だと気付きながら。

 

よって、この事実に気付いた営業マンは、悪用して手数料を稼ぐように工夫をします。

 

それは、ランダムな報酬をこちら側で調整してしまうこと。

 

株式を例に取りますと、対面営業では取引の往復手数料が2%くらいかかります。

取引をされていると分かると思いますが、手数料2%を払ってさらに投資家が満足する利益を得るには、時間がかかります。

 

上手くいっても2,3日かかるのが当たり前なんですが、手数料が足りなくて困った時は、儲かっている顧客リストからターゲットを決め、全体収支が大きくマイナスにならないことを確認したら、銘柄の入れ替えをていあんしてしまいます。

 

例え、今マイナスでも。

 

ランダム報酬状態の顧客は、営業マンの信頼度合いにもよりますが、関係作りができていれば、そういう顧客は7割以上の確率でその提案を受け入れてしまうのです。

 

この場合の提案は手数料ありきですから、持っている株があがるかどうかはかんがえません。

 

しかし、ランダム報酬を顧客に提供できればまた手数料を貰える可能性が高いわけですから、買い付けの銘柄は厳選します。

 

この選び方がある意味その営業マンのその後のカギを握ることになりますので、基本的には一生懸命選ぶことが多いです。

 

この点からも証券会社の担当者は、顧客に損をさせてもいいと思っていると認識は間違っていることには気付かれるでしょう。

 

儲けさせなければ、逃げる一方ですから。

 

しかし、それでも損させてもいいと思う取引があるのも間違いなく、結局手数料をどのように上げていくかが全てで、顧客への利益提供も手数料のために行っている面は色濃くあることは否定できない事実だと思っています。

 

ランダム報酬のその先は

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投資は儲ける時に設けていないとトータルリターンは必ずマイナスになります。

良い時期と悪い時期がありますので、どのような投資対象でもこれは投資の公式です。

 

その点に立って、ランダム報酬を悪用した営業マンのスタイルを検証すると、答えは簡単に導けます。

 

「儲けては損する」を半ば強制されることになりますから、悪くなった時、直近ではリーマンショック等で必ずマイナスになっていきます。

 

リーマンショック前の相場は、イケイケでしたので、余程下手な営業マンに担当されていなければ顧客の多くはプラス収支だったと思います。

 

私の顧客はほぼ全ての顧客がそこそこですが、儲かっていました。

 

しかし、良い時期にはしっかり設けないといけないわけです、

調整されたプラスでは残念ながら足りません。

 

よって、リーマンショックで儲けが飛ぶどころか、ほぼ全ての顧客の資産は、取引前より減少してしまう結果となりました。

 

結局、手数料を考えた営業をされてしまっては、ただでさえ利益を取ることが簡単ではないこの投資の世界で、儲けることは実質的に不可能と言えます。

 

それをわかっていながらランダム報酬の中毒性すら悪用して手数料を稼ぐことは正義とはほど遠く、やはり寂しい世界だなと思ってしまいます。

 

これを書いている私も、小泉政権発足からの上昇相場の時などは、これでいいんだと思っていた時もありました。

 

顧客が儲けることと、証券会社が儲かることが連動していたので自分の中にある矛盾に蓋をしてしまっていたんですね。

 

しかし、その後の惨さを見るに、儲けを取るのに、対面営業の手数料は高すぎますし、手数料が高いのならじっくり良いものを持ってしっかり利益を取るべきで、回転売買はありえない投資行動であると今は思います。

 

正確に言えば、ふたをしていた自己の矛盾、つまり顧客を儲けさせたい欲求とそうではない自分の行動を見つめ直して今に至る形です。

 

できない営業マンの顧客の資産なんか、私は直視できませんでした。

もちろんその営業マンはその状態に苦しんではいましたが、それでも続ける理由がわかりませんでしたし、外線からその顧客達と接すると本当に胸が痛かったのを今でも時々思い出します。

 

投資の世界は、成功させるのに、正しいと思われる行動を一貫して続けないといけません。

少しでもその行動とは違うと認識することは排除し、より良い行動を模索していく必要があります。

 

対面営業を選択するのなら、それが自分に取って何がメリットなのかを精査し、リスクを洗い出した上で、気をつけて取り引くすることがあるでしょう。

 

悪いところばかりではありませんから、何か優位性を感じて取引することを、頭から否定するつもりはありません。

 

しかし私の出した答えは、自己のレベルアップに励んで、様々な情報をネットから抽出して分析し、ネット証券で投資を行うべきだということです。

 

その時代がやってきていますし、その土壌は既に出来上がっていると思っています。

 

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