担当者を変えることで証券会社が狙っている効果とは
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自分の資産を守ってくれるのは誰?転勤で頻繁に変わる証券担当者 でも少し触れていますが、今回は担当者を変えることで証券会社が狙っている効果にクローズアップして述べていこうと思います。
証券会社は金融機関なので、担当者が頻繁に変わることは致しかたない部分は当然あります。
実際に利益を上げた顧客がお小遣いを渡してこようとすることはありますので。
決してもらったりしませんけどね。
その思いはなかなか嬉しいものではありますが、完全なる法律違反なので、そこは我慢です。
しかし、時間が数年単位で経って信頼関係の中に歴史まで加わってしまえば、数万円くらいいいかと思う営業マンがいてもおかしくないかとは思います。
そんな関係が進んでいくこともあり得るのでしょう。
それでは、本題に移っていきます。
稼働客の増加
稼働客とは、睡眠客の逆の言葉で取引を過去半年くらいの中で行っている顧客のことを言います。
皆様のイメージでは、対面営業を利用している人は株ばかりやっているイメージでしょうかね。
実際は株の売買を盛んに行っている顧客の割合はそんなに多くはありません。
保有という意味では大変多いのですが、売買となると半年単位で考えて株の売買している割合より、その他の商品を売買されている顧客の方が多いくらいですね。
時代の変化を感じる部分です。
顧客が証券売買を中止する一番の原因は含み損による塩漬けです。
また、それによって証券会社を信用しなくなって取り引きを中止するパターンですね。
これで全体の8割くらいは理由が説明できます。
担当者を変えると現れる効果として、まずはこの睡眠口座から稼働口座への復活が挙げられます。
要因は二つ。
一つは、しがらみのない営業マンが固定概念を持たずに接触することで、ニーズに合った提案ができること。
もちろん、全ての取引履歴は確認してから接触するのですが、動かせたらラッキーぐらいの感じでどんどん接触していくと、直近の流行っている商品に興味を持たれていたり、どうにかしようと思っていたなんて話が聞けることもあります。
転勤してすぐはめちゃくちゃ忙しいですが、手数料的なものは少し余裕もあるので、睡眠客の反応が良い場合は、少し時間をかけて口説いていくことも積極的に行うことは多いです。
しばらく取引がなかったために動き出すと大きな資金が入る可能性も秘めていますので、自分の担当した顧客全体のポテンシャルを上げる大きな要因になるからです。
それまで担当していた営業マンがこの作業をやる時は、「ほぼ必ず今更何なんだ」と反応が返ってきますが、「新しく担当に付いたのでご挨拶を」とすると、溜まっていた不満を聞きながらですが、お話が出来たりすることは珍しい話ではありません。
もう一つは、時間の経過でほとぼりが冷めること。
ケンカ直後のカップルではないですが、時間を置くことで再度話ができるようになる顧客層がいます。
特に、前担当者が迷惑をかけてしまったことで睡眠してしまった顧客は、最終取引からあまり時間が経っていないので、1~2年時間を置いて接触すると、「最近全く連絡がないからこっちから連絡しようと思っていた」なんて話が聞けたりします。
そこで直近の資産状況を説明しながら、テコ入れとして銘柄の入れ替えを提案すると気分を変えてご納得頂けることがあります。
証券担当者というのは、大きな損失状態に陥らせてしまった顧客から逃げる場合が多くあります。
儲かると言って結果が真逆ですから、連絡するのも怖いのは人間の心理ですね。
特に損失が続いてしまった場合は、言い訳も難しく連絡しないで逃げていってしまうことはしばしば起こります。
その状態で担当が変わると、確かに損はさせられた会社の人間ではありますが、その人が直接悪いわけでもないことから、一通りお話を聞いて、仕切り直していこうという結論に達することは少なくありません。
以上のように担当者を変えることで睡眠口座が動きだし、活性化が図れる利点が証券会社にあります。
ポテンシャルの高い顧客をできる営業マンに付けて支店単位の収益力を高める
転勤があると、その営業マンについていた顧客は全てが次の担当者に引き継がれるわけではありません。
一度、担当していた顧客の中で、預かり資産上位と手数料上位を洗い出し、支店の顧客として誰につければより収益力が高まるか検討されることがあります。
伸びてきている若手なんかにもこういった機会でチャンスが与えられることも多いですし、属性が良いのに上手く稼働させられていない顧客はできる営業マンにつけたりして支店全体の収益力を高める効果を狙います。
担当をいきなり変えてしまっては顧客の不信感を高めてしまうことが多いので、どちらにせよ担当が変わる転勤の機会を活かして、支店の収益力を高めることを目指すわけです。
属性の高い顧客は自分から口座を作りにくることが少ないので、新規へのアプローチや既存客からの紹介で口座を開くことが多いことで、できない営業マンが宝の持ち腐れ状態になることはしばしばあります。
その場合には、上司が実質的に副担当のような形でフォローすることもあるのですが、やはり責任を持って担当してくれているわけではないとの顧客側の思いもあり、しっかり良い営業マンに付ける方が、合計の手数料は期待できます。
担当者が変わることで証券会社はプラスに 顧客はマイナスの影響が大きい
通常、担当者が変わってもそれまでアクティブに動いていた顧客が止まってしまうことはほとんどありません。
前の担当者を気にいって取引をしていたという顧客にはよく会いますが、流れを作ってくれているというか、その顧客も証券会社ではこういう取引をするものだと思ってくれているというか、とにかく動いている顧客は問題なく引き継げることが多いのは間違いありません。
よって、引き継いだ営業マンが前営業マンの成績より悪くなった場合の評価はかなり悪くなります。
上記に挙げたことが新しく担当することで得られるメリットですから、転勤直後は挨拶周りなどで非常に忙しいですが、回りながら注文が頂けることが多く、結果的には収益は落ちずに挨拶周りが終わった時あたりから、前担当者の手数料を一時的でも上回ることが多く発生します。
特需みたいなものが終わって、それを継続できるかは、何を買ってもらったかやマーケットの状態によりますが、総合的に証券会社が持つメリットは結果の面からも大きいと言えます。
しかし、顧客の立場で考えるとどうでしょう。
資産運用は、色々な生活背景や事情なども考慮にいれて行わなけばならなかったりして、頻繁に担当が変わることは明らかなデメリットです。
また、運用力も担当者毎に開きが大きいため、新しく担当することになった人が信用に値するのかどうかも未知数です。
現実にはその点を考慮しているとは思えない行動を対面営業を利用している顧客は取るのですが、客観的には理解できません。
担当者が勧める商品はある程度会社の意向も含まれていますが、売るタイミングやポートフォリオのバランス、取引の頻度などは、会社が面倒をみてくれません。
多くの投資における重要な判断を各営業マンが独自に判断していることの方が現実には多いのです。
本当はじっくり時間をかけて各担当者を吟味するべきですし、投資に関する考え方やニーズを話し合いの中で共通したものにしていくことが必要です。
そういった意味で、今回取り上げたテーマは、非常に顧客側のデメリットが大きく、対面営業を生業とする証券会社にメリットが大きいことだと思っています。
この問題を解決するには、やはり投資家それぞれが知識をつけて、文字通り担当者を利用する方の立場でいることが求められます。
そうなると、高い手数料を支払うことに疑問を持つでしょうし、ネット証券を利用することのメリットの大きさに気付けると思います。
そういった考えのできる投資家が増えることを祈っています。
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