元証券営業マンの本音で語りたいこと

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顧客の損切りを提案する時の証券営業マンの心境|実際どうなの?

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証券会社の営業マンは、客のことを考えていないと思っている方が多いので、今回のテーマは「顧客の損切り」が営業マンに取って、どんなものなのかについてです。

 

詳しくみていきましょう。

 

顧客の損切り提案の動機

手数料のため

やはり間違いなく、どの営業マンも手数料のためだという理由が多いなります。

これが違うと言うのは、あり得ないとさえ思います。

 

顧客の抱えた含み損は、基本的に自ら損切りしていく割合は、2割を切るというのが体感です。

これは、特にこちらから提案したものを買い付けた場合です。

よって、提案した以上は、売る時期もそちらから言ってきてねというのが顧客の気持ちでしょうし、まさかそれがマイナスの状態で言われることがあるなんてほとんどの顧客は思いません。

 

それでも損切りをしてもらい、その玉から手数料をもらわないと営業マンは立ち行きません。

保有の商品が良いものか悪いものかに関わらず手数料のために損きりの売却提案をする機会が一番多いです。

 

より良いものを持ってもらうため

営業マンは日々相場の勉強はしています。

ほとんど趣味に近いような人も多いです。

全体的に相場は好きですね。

特に若手の頃は、相場の話だけで一晩飲めます。

 

そんな証券マンですから、それぞれに相場観があります。

日々情報処理をしていると、「これは!」と思うものと出会えることがあります。

優秀な営業マンこそ、その嗅覚に優れており、顧客の誘導も積極的に行っていきます。

 

従って、次に多いのが、良い商品で顧客の利益を目指すために損切りさせることです。

結果的に儲ければ良いとまでは思っていませんが、利益が取れるチャンスにはしっかり対応してもらいたいという本音はあるでしょう。

 

売らなければ仕方がない物を保有しているから

あまり多い機会ではありませんが、今後下がっていくことがほぼ確定的な物を持ってしまっている場合は、即ちそういうニュースが出た時は、出金覚悟でも損切り提案を行います。

会社から指示が出ることもありますし、支店単位や個人の判断もあります。

 

特に、保有株式の経営不安問題まで発展する材料が出た時は最低限のフォローとしてその材料を説明し、損切り提案を行います。

 

そういったケースはもう仕方ないので、怒られようが落ち込まれようが、出さなきゃいけない情報ですので、しっかり説明を行って判断してもらうことになります。

 

これをしないとトラブルの可能性は50%を越えますので、最悪留守電でも説明することが多いですし、深夜しか捕まらない顧客へは、夜遅くにでも連絡します。

 

顧客の資産が減ることはどう思うのか

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辛いですね。

何度かここで書いてきていることですが、本当は顧客の役に立ちたいという思いはほとんどの営業マンは持っています。

客の資産なんてどうでもいいなんて考えをしているのは、全体の1割程度です、

 

正し、一方で第三者として見ているところはあると思っています。

他人事だという感覚は否定できないところです。

自分の資産でもやるの?と聞いて、縦に首を振れる損切り案件は全体の1/3もないですから。

 

そして、手数料のことも頭にはあります。

顧客の資産が減るということは、預かり資産が減ることを意味していますし、信頼を失う行為であるため、その後の顧客との関係性悪化から自分の手数料の落ち込みを想像することは少なくありません。

特に主力として考えている顧客に対しては、非常に色々な意味で考えることが多いです。

 

そういったところは、世間のイメージと合致する部分でしょうか。

 

手数料のための損切り提案する気持ちは

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これはどこかのタイミングで割り切っていかないと、証券マンはやっていけません。

それがいつなのかはそれぞれですが、レベルが段々と上がっていくと、この損切り提案を日常的に求められるので、営業マンはそれぞれで考えて答えをだしていくことになります。

 

結局、営業マンとしての価値は、これがどこまでスムーズに、且つ顧客の信頼を繋ぎ留めながら行えるかで決まっていくところがあります。

 

自分の顧客を絶えず動かしていくには、捕まった玉をほぐすことが重要になり、利益を出している玉は動かしやすいことから、いずれはどうしても損失の玉ばかりになってしまうからです。

 

それだけ会社から求められる手数料が、実際のアドバイザー業務とかけ離れているということです。

 

こういった背景を前提に、損切り提案する時の気持ちについて述べていきます。

 

まず、迷惑をかけることになるので、顧客との接触では謝ることになります。

見通しと違う結果が出たのですから、当然ですね。

 

これは、本気で謝ります。

心から申し訳ないと思っているので、誠意を持って何とか許してもらえるようにしっかり説明します。

 

ただ、先程も述べた通り実際には損失を出したことを想像しているに過ぎない部分はあります。

また、自分が提案した商品でなければ、面と向かって次の商品提案をしてしまい、ああまり顧客の損について深く考えない営業マンは多いです。

 

やはり、会社のせいにして自分はしょうがなくやっているんだという感情でごまかすことが多いですね。

逆に言えば、そうでないと続きませんし、損切り提案を繰り返すことは自分のダメージが大きすぎて耐えられません。

 

特に私の場合は、顧客の役に立ちたいという思いが強かったので、大きな損切り提案をした後は、嘔吐していたりしていました。

 

怒られることも辛いですが、落ち込まれと本当に辛いです。

その提案がせめて前向きな物でしたら、また違いますが、手数料のためであって、切る必要のない玉だとしたら、その辛さは倍増します。

 

損切り提案によって実際に動いてくれた顧客との電話が終わると、あからさまに落ち込む営業マンは少ないですが、顔を洗いにいったり、一旦離席したりすることは多いです。

 

気分を変えないと次の業務に移れないいのが本音です。

 

確かに最後の決断は、手数料ありきの発想によって決められた行動ですから、最低な行動だと言えるのですが、実はその裏には葛藤もありますし、その後の反動も受けているのが現実です。

 

これを繰り返すことによって、ベテラン営業マンほど損切りへの抵抗感をなくしていき、機械的になっていくことはありますが、証券界全体を想像すると、私の感覚ではダメージを余り受けずに損切りする営業マンは少数派だと感じていました。

 

損切り提案をしないように営業していくことが一番大事だと思ってはいますが、環境によって難しかったり、自分の力量が追い付かなったりして、時間の問題で向き合う問題になります。

 

証券会社の離職率の高さは、自分の仕事がダイレクトに顧客の迷惑になることがあって、さらに顧客のための営業を続けることが難しいからという理由は大きいと思います。

 

明らかな損失を与えるということは他の営業と大きく違う点ですね。

 

 

今回の記事は皆様にどのように映ったでしょうか。

顧客と会社と自分の生活のバランスを取ることは証券マンに取って永遠のテーマです。

 

人と人である以上は、それぞれ立場があるので、なかなかうまくはいきません。

 

投資家は、自分の利益が取れる行動のみを行うべきであり、それ以外のことを極力なくしていかないと利益を取っていくことは難しくなります。

 

やはり知識を得て研究し、自分の資産と自ら向き合わないといけないと言えるでしょう。

 

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