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毎月分配型投資信託の危険度チェックは組み入れ銘柄平均利回りで予測しよう

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毎月分配型投資信託は、毎月安定した分配金を貰えることが魅力ですが、危険度チェックは十分でしょうか。

 

分配金は、その毎月分配型の投資信託の運用益から成り立っていますが、計算できる主な収入源はそのファンドの組み入れ銘柄の利息収入です。

 

実際の分配金の内訳は、利息が占める割合が非常に小さくなっているのが特徴ですが、安定した分配金を貰うのに、為替益を当て込んでは難しくなってしまいます。

 

まずは、毎月分配型の投資信託の分配金の考え方から見ていきましょう。

 

毎月分配型投資信託の分配金とは

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http://www.kokusai-am.co.jp/fund/pdf/monthly/148013.pdf?nc=1423107743000より

 

 上の図を見て頂くと、分配金は、投資信託の純資産の一部から出ていることがわかります。

当然、銀行の利子等とは全く違うことが一目瞭然にわかりますね。

 

さらに、図の下段に正し書きとして、「分配金は、計算期間中に発生した収益を越えて支払われることがあります」と記されています。

つまり、毎月の分配金は、事前にほぼ決まっていて、もし運用の成果が出なければ元本を切り崩して支払うような形になってしまいますよということを伝えているわけです。

 

これは、ニーズを満たすために仕方のないことなので、毎月分配型の投資信託自体がおかしいという話とは根本的に違う話をしています。

 

まず、この部分で分配金は利息とは全く違うのだと理解して下さい。

 

投資信託は運用で増減する純資産からしか投資家に還元できず、例え損失が続いたとしてもルールに従って分配金を支払う制度になっています。

 

運用益が計算できる部分

しかし、何の計算もなく分配金を支払うのはおかしいですね。

運用の結果として損失を出すのか利益を出すのかは、誰にも分かりませんから根拠がない毎月の分配金なんてそこまで多くの人が欲しがるとは思えません。

 

では、何を持って投資家の信頼を得たのかを説明しましょう。

 

それは、投資信託が保有する債券の利子を計算して分配金を支払いますというところがスタートでした。

日本に比べて諸外国の金利が高いことから、為替リスクを取って高い利子を貰おうとするコンセプトがそもそも毎月分配型の投資信託が流行った理由です。

それを毎月に分けて受け取りながら運用していくことが安心感に繋がり、運用の成果を実感できることで、運用意欲を煽っていきました。

 

つまり、分配金の計算できる部分とは、保有している債券類のインカムゲイン(利息等の収益)であり、それが一定の周期で利率に沿って入ってくるから成り立っているということです。

 

ただ運用益を分配すると言っても、何の計算もなければ、何だかマルチ商法みたいな印象をもちますが、これだけ利息で入ってくるのですよと説明されれば、安心できる投資家が現れるのは、納得がいきますね。

 

その考えは、基本的に今も続いてはいますが、毎月支払われる分配金のイメージは、どんどん変わっていきます。

 

高いほど優秀なファンドだという風潮が出てきたからです。

確かに高利回りの商品は見た目が派手になりますし、実際の受取額が具体的に多くなりますので、魅力的だと言えます。

 

しかし、分配金の中身は結局運用成果を勘案した純資産なのですから、計算できる利息収入を越えて分配金を支払えば、当然その分の基準価額は下がることになりますし、ある程度ファンドの意思次第で分配金利回りは調整可能なようにできていますから、あまり意味がない考え方であることに気付くべきです。

 

では、適切な分配金を知るにはどうしたら良いかについてです。

 

投資信託の適正な分配金利回り確認方法

ファンドのレポートで確認が可能です。

 それぞれのレポートで確認するポイントが少し変わってきますので、注意をしてください。

 

一番分かり易いのが、組み入れ銘柄平均利回りを載せている投資信託です。

組み入れ銘柄平均利回りとは、その投資信託が保有する債券の利回りを平均したものです。

つまり、これを確認すれば大凡の年間利回りが確認できるので、その投資信託がどれだけ無理をして毎月の分配金を支払っているのかがわかります。

 

その他の方法として、組み入れ上位銘柄欄を見てみたり、ポートフォリオ構成欄に並んでいる利回りを見てもイメージは掴めます。

 

また、一部ですが、分配金の内訳を発表しているところもあるので、その場合は。配当等収益や利息収入といった形で載ることが多いので、そこを確認しましょう。

 

ほとんどの毎月分配型の投資信託に言えること

確認していくとどれだけ各ファンドが、見込みの立てにくい為替益等を見込んで分配金を払っているのかがわかります。

 

当然ですが、組み入れ銘柄からファンドに入る利子以上の分配金を支払っている状態で円高になれば、基準価額はその分下がることになります。

 

せっかく分配金を貰っても元本が減ってしまっては、買った投資信託を切り崩していることと同じになってしまい、全く意味が無いどころか、買い付けにかかった手数料が無駄になります。

 

実際に入ってくる利子よりも大幅に多い分配金を支払っている毎月分配型の投資信託が圧倒的に多いわけですが、あくまで円安が続いていかない限り、元本は常に欠損のリスクに晒されていることを自覚しましょう。

 

今回紹介させて頂いた方法で、組み入れ銘柄の平均利回りを確認し、本来見込んでいる収益はどれくらいかを見て、現在の分配金水準をみれば、その差額が危険度を表しています。

 

危険度と言っても、差が大きければ危ないかと言うとそうではありません。

差額分が利子以外の部分から出ているということになりますので、その分為替が円安なったりして運用成果を他で出すことが出来なければ、元本から切り崩す状態となることを意味しているだけです。

 

つまり、為替の動向を強気で見ていれば、買い付けに値するものもありますし、実際に円安へと動いていけば、長期間に渡って高利回りの分配金を貰うことも可能ということです。

 

よって、毎月分配型の投資信託の買い付けにあたっては、利息収入でイメージを掴み、為替動向にどれだけ左右されるのかを知った上で、その為替がしっかり円安に動いていくのかをよく調べて買い付けを行う必要があります。

 

また、元本の切り崩しになることも歴史的には多いことに対し、不信感を抱かれるようであれば、買い付けをするべきではないのでしょう。

 

今回のテーマで分配金のイメージを変えて、投資信託自体の運用が果たしてうまくいきそうなのかにもっと注目していきましょう。

 

分配金はあくまでおまけです。

トータルで運用益を出していくことが投資家の目指すべき道です。

 

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