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毎月分配型投資信託の分配金にかかる税金が変わるのはなぜ?分配金受け取り額の変動について

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毎月分配型の投資信託を保有していると、毎月の分配金に税金がかかったり、かからなかったりして実際の受取額に変動があります。

 

振込金額を見て、もしかしたら保有の毎月分配型投資信託の1万口当たりの分配金が変わったのかなと思って調べてみた経験もあるかもしれませんね。

 

今回は、投資信託の分配金にかかる税金の関係で、なぜ受け取り額が変わってくるのか説明していこうと思います。

 

大原則から理解しよう

毎月分配型投資信託の分配金にかかる税金は、2014年現在20.315%です。

これから説明していきますが、投資信託には個別元本と言うものがそれぞれ計算されて税金がかかっていくので、分解金の受取額は人によって変わっていき、月によっても変わる場合があります。

 

しかし、いずれにせよ投資における税金の大原則は、利益に対してかかってくるのだとよく理解しましょう。

 

表面的には、毎月分配型投資信託の分配金に税金がかかるということは、受取額の減少になりますが、逆に税金がかからないということは、その受け取った分配金が利益ではないことを表しているということです。

 

よく顧客と話をしていると、「今月から分配金に税金がかかっているんだけど」とクレームに近い問い合わせを受けていましたが、よく知っている投資家は税金がかかってきたことで、自己の投資が上手くいき始めたことを実感します。

 

利益に税金がかかっていく原則を知れば、税金によって分配金が減ることを嫌なことだとは思わなくなるでしょう。

 

誰しもが税金がかかってくることを良いこととは思いませんが、投資信託の分配金が、利益に相当する場合に税金がかかることはルールで仕方のないことですので、その点についての議論は他に譲ります。

 

 

個別元本

投資信託の分配金にかかる税金を計算するのにモノサシとなるのが、個別元本です。

投資信託では、個人それぞれに個別元本を設定し、それと分配金支払い後の基準価額と比べて利益かどうかを判断し、必要に応じて課税がされます。

 

その仕組みの前に個別元本をしっかり理解しましょう。

 

個別元本は、まずは買い付け当初の基準価額が採用されます。

(買い付けにかかった手数料は含みません)

そして投資信託の決算を迎えると、毎月分配型等の分配タイプの投資信託は、ファンドが保有する純資産の中から配当を出すことになるのですが、その分配金が全額利益相当に当たる場合は、個別元本に変動はありません。

 

来月の決算でも同じ個別元本で利益かどうかの判定をします。

 

問題は、保有投資信託の決算を迎えた時に分配金を支払った後、自分の個別元本より少しでも下がってしまった場合です。

 

この場合がランダムに訪れたりもするので、個人投資家がよくわからないという状態になる原因となります。

 

詳しく見ていきましょう。

 

普通分配金と特別分配金

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       国際投資顧問 グローバルソブリン マンスリーレポートより引用

 

上の図は、グローバルソブリンのマンスリーレポートより引用したものです。

まず、確認するべきところは、一番上の文章です。

分配金が元本の払い戻しに相当することもあると書いてありますね。

この部分は何度か書いてきたことなので驚きはないと思いますが、分配金を貰っても基準価額が下がれば意味が無いと言ってきたを表しているところなので、よく理解しておいてください。

 

それでは、分配金が元本の払い戻しになる場合があることを前提にして普通分配金と特別分配金の違いを説明します。

 

普通分配金とは、いわゆる利益相当の分配金を言います。

保有の投資信託が決算を迎えて分配金を支払った時の基準価額が、自分の個別元本を下回っていた場合、つまり運用が順調で値段が上がっていって決算後の値段より自分が買った値段が安い場合は、分配金が全額利益相当となりますので、通常の税金がかかります。

 

 税金のかかる形で普通分配金を貰っていくというのが投資という意味で一番望ましい決算の迎え方です。

 

普通分配金に対し特別分配金とは、個別元本と比べて一部でも元本の払い戻し状態として受け取った分配金のことを言います。

上の図の右側を見て下さい。

投資信託買い付け後の運用成果が悪く、決算で分配金支払い後の基準価額が買い付けた値段を上回っている場合は、分配金を貰っても利益ではないので、課税はされません。

これが一番分かり易い特別分配金の受け取り方です。

 

そして、左側をみると、一部が元本の払い戻し相当、一部が利益相当という構図になっています。

この場合は、払い戻しにあたる部分は特別分配金で非課税となり、その分の個別元本を計算し直し、利益相当分には普通分配金となって課税がされます。

 

個別元本に変動があるというのが難しいですね。

 

投資信託を買い付けるのに当てた投資資金の内、一部が返ってくる状態と、分配金を損の状態でもらうことは同じ意味のため、分配金の計算をする物差しである個別元本をそのままにすると、次のようなことが起きることから、特別分配金の分だけ個別元本を下げる必要があります。

 

例えば、基準価額が少し下がった状態で長期間基準価額が動かなくなったとします。

そうすると、買い付け単価より決算の時の基準価額は低いものの、そのまま分配金を貰い続ければ、いずれ分配金が利益相当になってきます。

 

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 上は、個別元本に変動がなかった場合のイメージです。

もし特別分配金を貰いながら個別元本に変動がなかったとしたら、本来の損益ではプラスになって税金が発生する時がきても、モノサシである個別元本が変わらないと、税金の計算がおかしくなって受取額に変動がありません。

これでは、利益に対して税金を課税することができなくなります。

 

次に個別元本が現行の制度で計算されたものを見て下さい。

(税金は便宜上20%で計算しています)

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3回目の決算で、個別元本9600円に対し、決算後の基準価額が9500円ですから200円の分配金が出ると100円分が利益相当となります。

分配金の一部が利益に変わりましたので、差額の100円に関しては税金がかかっています。

それと同時に、払い戻し相当の100円分は投資元本からの払い戻し状態に当たるため、個別元本が100円下がっています。

(本来は20.315%。ここでは20%で計算)

その後は、個別元本と決算後の基準価額が同じになりましたので、分配金を受け取れば利益相当と計算され、税金が全額考慮された分配金を受け取っています。

個別元本も分配金が全額利益の時には動いていないこともポイントです。

 

個別元本を知るには

長々と説明してきましたが、個別元本はいちいち自分で計算をする必要はありません。

分配金の報告書に載っています。

 

ここでは計算方法がわからないと、結局意味を掴んでもらえないため、詳しく説明してきました。

 

顧客との会話でもなかなか理解してもらえない有名な項目なので、文章で伝えるには少し私の限界を超えていたように思いますが、イメージだけでも固めてもらえると、分配金に税金がかかってくる仕組みが分かってくると思います。

 

分配金は同じだけ出ているのに、受取額が毎月少しづつ違うと、初心者の方は不信感を持たれることが非常に多かったので、難しいことでも詳しい仕組みを説明しました。

 

3つ張り付けている画像はよく見て頂いて、各目論見書に書いてあることを理解するようにしてください。

今回の記事では、その目論見書を理解するためのイメージを固めるものとして書いていますので、投資判断や仕組みを完全に理解するにはこれでは足りません。

 

買い付け前に目論見書を正しく理解する必要がありますし、既に保有されていても目論見書をあまり理解できていないという方は、しっかり読み込んで正しい知識をもって投資信託の運用をしていきましょう。

 

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