バランス型投資信託は運用に有利か不利か
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バランス型投資信託は、運用に有利な商品群なのでしょうか。
純資産ランキングの上位に少ないカテゴリーですので、注目度は低いのかもしれませんが、その優位性の有無については説明がほしい方もいそうです。
今回は、バランス型投資信託は運用に不利か有利かについて私の見解を説明します。
過去2回バランス型ファンドについて説明していますので、基礎知識が弱いと思われる場合はこちらを参考にしてください。
バランス型ファンドは初心者向き
バランス型投資信託は、一つのファンド内でカテゴリーを越えた分散投資ができる点を魅力と考えるべきです。
個人がパーセンテージにまで拘って分散していくことははっきり言って難しいです。
上で紹介しているリンク記事にリバランスの効果について説明していますが、リバランスは個人の場合、実行する時期に迷いが生じる機会も多いです。
1年位でやるべきだとか、半年や3年ほどといった感じで大きく考え方の差が出る部分があります。
その点で考えると、初心者に取っては総合的な運用へ向けた勉強の機会を得ることに繋がりそうなイメージがあります。
他にバランス型以外のファンドも同時に持って、動きの差などを見ていくと分散投資の特徴を掴み易いかと思います。
しかし、初心者を脱した投資家に取って、バランス型投資信託は運用に不利かと思う点があります。
それは、信託報酬です。
バランス型投資信託は、分散にかかるコストが発生します。
個別ファンドそれぞれで信託報酬がかかり、それを組み合わせてポートフォリオの構築・維持にも信託報酬がかかる形です。
分散投資は比率に拘っていくと難しさは、かなりのレベルに達しますが、初心者を脱した自覚があれば、自分で比率を模索していくべきでしょう。
どうせ一つのファンドでは運用をきっちりやっていくのはほぼ不可能になっていくかと思いますので、その点でもバランス型投資信託は、段々と不要になっていくかと思います。
資産の配分バランスは個人の財力や考え方、その時の相場環境や見通しの持ち方で大きく変わってくるものです。
そこに肝があるわけですので、バランス型投資信託が万能型の投資信託だと思って運用していくことは、多少無理が生じてくると思います。
その点は次のことでも、不利に働くポイントだと思っています。
資産の配分バランスは変更不可
スイッチングできるバランス型ファンドがありますが、3つくらいのコースが用意されているだけで、資産の配分バランスを変更していくのは実質的にかなり大雑把な変更ができるだけですので、厳密にはほぼ不可能だと思っています。
特色のある3コースでは、細かな変更ができない設計だと言えるでしょう。
リンク記事(バランス型投資信託の特徴|メリットとデメリット)で、ファンドマネージャーが相場の見通しで配分バランスが非効率になってきていると感じても配分を機動的に変更できないことをバランス型ファンドのデメリットであると挙げています。
分散投資をプロに任せるのですが、実質的にはスタートの段階で任せているだけで、運用中に配分のバランスを機動的に変更することはほぼできません。
つまり、あくまでファンドが決めた配分を、どんな状況になっても続けていくことになり、適切なバランスだとされているのは過去だけで、未来を勘案できていないことを意味しています。
現実的に運用してみたけれど、こっちの方が良いのではないかという思いは、運用しているとままあることです。
その機動力が失われているバランス型ファンドは、中級者以上の投資家に取って大きな魅力が削がれていると考えます。
資産の配分をちょくちょくか変えていくことは、正しい場合とそうではない場合とに分かれますが、ファンドマネージャーと自分とでどちらの判断でも実質的に配分変更できないということは、結局自分が他のファンドで補ったりしながら配分を微調整する必要性を生み、バランス型ファンドの意義を消すことになりそうです。
万能型でない理由がここにもあるわけですね。
コースでスイッチングしていけば良いとの考えも多少間違っているような気もします。
それならば、自分で配分を決めた方が有利ではないでしょうか。
一つのファンドで運用していく人もほとんどいないでしょうし、それならば自分なりのポートフォリオを構築していく力をつけるべきでしょう。
個別ファンドの優位性
バランス型ファンドは、個別ファンドへの拘りをあまり感じません。
パッケージ化する個別ファンドは既に決まっており、配分ばかりに特色を出しているのがほとんどかと思います。
インデックス型のファンドで運用するものも多いので、個別ファンドに拘る必要がないとの考えもあろうかと思いますが、私は大きな疑問を抱きます。
やはり、これも自分で資産配分を決定していくべきで、バランス型ファンドの保有の意味を見いだせない点に繋がるのです。
アクティブ型のファンドでポートフォリオを構築するべきだとは思いませんが、各カテゴリーの中で優秀なアクティブ型のファンドを探していくことは大変重要な作業ですし、インデックス型に拘るのは少々勿体ない印象を持っています。
この点は個別記事で扱うレベルのところですが、基本をインデックス型にしながらアクティブ型を組み合わせることも必要だと、個人的には考えます。
インデックス型にも種類はあり、紐付けられた個別ファンドに優位性があるのかを見極めて、バランス型を検討していく必要性は高いでしょう。
しかし、それでは結局自分でファンド選びから、資産配分まで自分で検討していくことになってしまい、バランス型ファンドの特色を消すことになりそうです。
やはり、初心者向けに作られているファンドだと表現するべきだと思う理由の一つですね。
個人的にはバランス型ファンドを買うことは無い
私は、バランス型ファンドを持つことは恐らくこの先ありません。
有利な点と不利な点を勘案すると、どうしても優位性が確認できないからです。
配分についても相場環境に合わせたいという思いを持っていますし、ファンドマネージャーがそこまでやってくれるなら別ですが、現状のバランス型ファンドには魅力を感じていません。
また、結局暴落する時はバランス型投資信託も暴落しますので、それなら自分でやりたいと思ってしまいます。
プラスして、実はこのカテゴリーにアレルギーがあったりします。
私は証券マン時代に、ある新発のバランス型ファンドのコンペにおいて、若手部門で1位の募集実績をあげたことがあります。
その時はバランス型ファンドに大変魅力を感じていました。
初心者の方に打って付けの商品だと思ったのです。
先輩営業マンを抜いてトップを取ったことで、社内の評判が一気に上がり、ブロック研修において数百人の前でセールストークのプレゼンテーションをすることになり、それがきっかけで社長や役員レベルに私の名前が知れていくことに繋がりました。
これが無ければ少し人生が変わっていたと思う体験でしたが、その後のファンドのパフォーマンスに愕然とします。
株が上がろうが円安になろうがなかなか上がっていかなったのですね。
募集量が多かったので、結局私は顧客のフォローに追われることになってしまいました。
コンペの1位が見えたところで、その時の支店長と話し合い、飛び抜けた成績を残すことを決めて、太い顧客にどんどん販売していく方針を固めていたので、私に取っては大きな痛手でとなりました。
そして、リーマンショックを迎えることになります。
上がらなくても下がらなければ、顧客をコントロールしていくことはできますので、成績を下げることは無かったのですが、信頼を失った顧客もいて、さらに私がそのファンドをためて持っていることを社内の人間が多くいましたので、色々な意味で辛い体験をしたことをよく覚えています。
私のアレルギーで説明をしていくのは間違いですから、意識的に客観性を担保するようには説明してきたつもりです。
あくまで、これは私がバランス型ファンドを持たない理由の一つだと思って頂ければなと思います。
今回は、バランス型投資信託が運用に有利か、不利かを考えました。
カテゴリーで明らかに不利な商品は、やはり消える運命になるでしょうから、未だにバランス型ファンドが一定の純資産を確保しながら存在しているのは、有利な点があるからでしょう。
確かに向いていると思われる投資家は存在します。
特徴をよく理解して保有を決断することが間違いだとは思っていませんので、ニーズに合わせて選んでいくことが大事でしょう。
元証券マンの本音で語りたいこととして捉えて下さい。
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