債券の単価が分かれば金利を固定するべき時と金利を変動させるべき時との差が分かる
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外国債券をやっていると、外貨償還させた外貨をどのように運用するか迷う時があると思います。
また、円安の傾向が強まると予想した時に、金利を高く貰うにはどうしたら良いかを考えることも多いでしょう。
今回は、投資において金利を固定するべき時と変動させる時との差を説明します。
債券の単価の基本
債券は100円で買ったものが満期である償還日に100円で返ってくることを発行体(お金を調達する企業や機関等)が約束しています。
その間に投資家は、メリットとして金利を受け取るのが原則です。
(ゼロクーポン債やディープディスカウント債などの特殊なものもあります)
外国債券の場合は、為替が絡むので、貰う金利を越えた為替損が全体の投資をマイナスにすることもありますが、国内債では発行体が債務不履行(元本又は金利が支払えない状態)にならない限り、満期まで持っていれば原則的に損失はありません。
では、債券保有中はどのような形になっているでしょうか。
債券は特別な条件が付いているもの以外、営業日ならいつでも売却可能です。
評価額も日々変動し、現在いくらの価値になっているのかはいつでも確認が可能であるのは、他の商品と変わりません。
つまり、毎日(僅かでも)変動している状態だということです。
外国債券の現在価値の計算式は以下の通りです。
(債券単価×為替)+(経過利子×為替)
債券はいつ売却しても基本的に有利や不利がないように、経過利子(前回利払い日から売却するまでに保有していた期間の利子)が貰えます。
それと同時に、債券単価も相場の状況で動いているので金利が高くなれば、その債券単価は下がり、逆に金利が低くなれば債券単価は上がります。
例えば1%の国内債を持っていたとして、それが1年経って金利が上がり、1.5%のものがどんどん出てくる状況になった場合、誰でも2%のものが欲しいと思うので1%の債券は価値(=単価)を下げるわけです。
逆に金利が下がって、0.5%のものが主流になれば、持っていた債券は有利な債券ということになるので価値が上がります。
[イメージ例]
金利が上昇=既存の債券価値低下
金利1%→1.5%
債券単価100→99
金利が下降=既存の債券価値が上昇
金利1%→0.5%
債券単価100→101
償還まで持っていれば債券単価は100で返ってくるので発行体に問題が無ければ、上で挙げた局面に関係なく、損失や利益はありません(一般的な債券)。
これが債券の単価の基本です。
金利の動向で持ち方が変わる
上で説明した原則を理解すると、どのような時に金利を固定するべきか、又どんな時は変動するものにしておくべきかが分かります。
詳しく説明していきましょう。
債券の単価のことを考えると、金利が下がっていく局面においては、金利を固定する方が有利になります。
3%→2%→1%
と言った具合に1年ごとに金利が下がっていくと想定される場合、3%で固定した債券はその価値をどんどん高めます。
この手法を取れる具体的な商品は個別の債券ということになります。
〇〇債という形で〇〇の部分に個別企業や自治体等の機関名が入ったりするものですね。
上とは逆に
1%→2%→3%
と上がっていくことを予想する場合は、金利が変動するものにしておく方が有利です。
外貨のことも考えるとMMFが有名ですね。
(個人向け国債も変動ですが、敢えて省きます)
従って、債券での運用を考えた場合、単価の存在を無視するのは、貰える金利が少なくなる可能性を高めるばかりか、償還前に売却する時も損をすることがあるので要注意です。
特に気を付けるべきこと
証券会社からのセールスで、良い金利のものが出てきたら、検討してほしいことがあります。
それは、全体の金利が上がってきている局面だから良い債券が紹介されたのではないかということです。
最近は金利のことがよく話題に上ってくるので敏感になっている人も多いかもしれませんが、金利の高い債券が出てくると飛び乗ってしまう人も出てきます。
金利が高い債券が登場するということは、それがレアものってわけではないことがあります。
債券は、発行体の信用力と市中の金利情勢で個別の金利が決まってくることから、とても貴重なものって少ないんですね(一部の人気銘柄を除く)。
つまり、
良い金利のものが出る=他の商品も金利が上がっている→今後も続く?
という検討が必要だということです。
もし傾向として、出てくる商品の金利が上がっていくなら、それは固定した金利にするべき時ではない可能性が高く、金利の上昇が止まるまで変動金利のもので運用し、金利がピークを迎えたところで固定金利に変えるのが有利な投資手法ということになります。
債券で運用する投資信託も変動金利
債券で運用する投資信託は、中身で固定金利の債券を扱いますが、それが入れ替わることで変動金利ものと言えます。
また、基準価額には毎日の債券単価が計算されているので、買う時や売る時も厳密に言えば、影響を受けた基準価額で買い付け・売却を行います。
ある投資信託の組み入れ銘柄平均利回りは、将来の組み入れ銘柄平均利回りを保証するものではありませんが、逆にそれが有利に働くこともあります。
金利が上がっていく局面では、ファンド内で新規資金や償還を迎えて現金になったもので買う個別債券の金利が上がっていき、組み入れ銘柄平均利回りは上昇していきます。
逆に金利が下がる局面では、当然ながら組み入れ銘柄平均利回りは下降することになるのです。
投資信託には、金利面以外のメリットやデメリット等もありますので、一概に金利情勢で選んでいくのは間違いといえますが、商品の特徴を踏まえて、属性を理解することは大切でしょう。
また、債券単価のことを理解すると、ファンドの中身やパフォーマンスを分析する上で、より理解が進むはずです。
複雑に考え過ぎるのはよくないですが、少しずつ知識がついてきたら、こういったことも勉強していくと、より全体的な知識を付けることができると思っています。
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