証券マンの苦悩|募集商品の存在と営業の実態
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証券会社の口座を持っているなら、必ずと言って良い程提案を受けたことがあるのが、募集商品の勧誘でしょう。
「新しく出る商品なのですが」
営業ですから当然かもしれませんが、何度この言葉を使ったかケタもわかりません。
今回は、「証券マンの苦悩」ということで、募集商品の存在と営業の実態について説明していきます。
証券マンに取っての目標とノルマ
よく「ノルマはありません」と平気で言っている営業職の募集を見ますが、それで経営が成り立つことってあるのでしょうか?
人は楽していきたいと思う生き物です。
良い時もあれば、悪い時もあるという観点から考えると、否定の余地はないでしょう。
やはり、お尻を叩かないと走らない部分は、人にもあろうかと思っています。
証券マンに取って、ノルマの達成は一つ一つが生き死にを決めるものではありません。
首を絞めていくことは間違いないのですが…。
その意味では「ノルマはありません」と言っていることをそのまま否定するのも無理があるのかもしれませんね。
ノルマへの考え方次第です。
証券マンの中には、できる営業マンとできない営業マンがいます。
ノルマの達成にが必ず差ができるのが、どの営業の世界でも同じでしょう。
従って、目標と捉えている営業マンもいるわけです。
正しく表現すれば、目標と同じ意味になってしまっている営業マンがいるわけですね。
そうなると、ノルマを越えた仕事をする人がいないと、部店レベルや会社レベルで経営が成り立たなくなります。
やっぱりノルマがないと、経営はできないのではないかと思う根拠の一つですね。
一社会人として、サラリーを貰って生活するなら、会社の役に立たないとならないのは、当たり前の話です。
サラリーを貰う契約は、責任を全うして会社に利益を与えることの裏付けがなければ成立しません。
しかし、しかしです。
投資の世界では、顧客を損させることが往々にしてあることです。
ノルマの達成を優先するのか、死にはしないのだと割り切って目標にしてしまうのかは、はっきり言って絶妙に微妙な判断となります。
こちらの記事の前半で、証券マンとは、顧客の利益の上で仕事が成立している部分があることを説明しています。
顧客への損失提供が、次の取引を阻害することの大きな原因になり得るというのが、根拠の中心です。
つまり、募集商品をガンガン販売するのかどうかという水面下の判断は、重要な要素にもなってくるわけです。
ここで問題が起きます。
未達成分のノルマの行き先
誰かがノルマを達成できなければ、どうなるでしょう。
答えは単純です。
誰かが必ずしわ寄せを食うわけですね。
ここに証券マンの苦悩があります。
儲からない商品をやらない⇒自分の上司や仲間に迷惑になる
儲からない商品をやる⇒顧客に迷惑をかける
実際に経験すると、考えているよりきっとハードな選択です。
証券マンで、この壁に当たったことのない人は、ほぼいないと断言できます。
自分が儲からないと判断する商品を募集しなければならない状況は、必ず訪れて、担当客を選ぶのか、広義の意味で会社を選ぶのかの選択を迫られます。
「募集できる限り、頑張ってみよう」
これは三流の証券マンの考えなので、恐らく数年も続けることはできないでしょう。
目の前の選択肢に向き合うしかないと思われます。
そうでなければ、全てが中途半端になり、両方に迷惑をかけるのがオチです。
従って、自分の状況と周りの状況を勘案して、自分の方針を決めることになろうかと思います。
未達成のノルマが誰も穴埋めできない場合、責任の重さの順で自分より偉い人に怒られていきます。
ほとんどの場合は、どうにかすることになりますが、どうにもならない時は、部店を越えて会社単位で取り組み、必ず達成させていくのが通常のやり方です。
募集商品は、基本顧客に割り振るしかありません。
しかし例外はあります。
会社の玉になる商品
会社が保有することになる商品の代表例は、債券です。
国内債・外国債問わず、新発債券は引き受けの形を取るので、引き受けた証券会社は、その額の債券発行を発行元企業等に約束して引き受けることになります。
従って、販売が進まない場合、最後は会社で持つしかない状況になることがあるわけです。
非常に稀なことではありますが…。
債券は、既発(募集後)でも取引するものなので、会社が持つことになった募集債は既発債として販売していくことになり、結局顧客に割り振っていく道を辿ります。
会社が意図しない商品を抱えると、やはり経営が成り立っていきませんから、当然の措置でしょう。
だいたい募集商品の状況がご理解頂けたでしょうか。
悪いものばかりなんてことはない
しんどい時を思い出せば、どうしても論調が暗くなりがちですが、募集商品は悪いものばかりではありません。
各営業マンで取り合うこともあります。
広義の意味では、IPOだって募集は募集ですしね。
環境次第ですが、儲かる時は驚く程利益を上げてくれるツールの一つです。
顧客の立場としては、募集商品を紹介された時点で、相手のノルマや状況を考えて耳を塞いでしまうまでは、考えなくても良いでしょう。
そこが問題ではありません。
ここで問題にしたかったのは、募集商品の中には、証券マンが儲からないと思う商品が一定の割合で混在してきて、それを義務的に販売していかないといけない状況が、証券マンの苦悩である点です。
アドバイザーとしての担当者を離れた提案は、顧客への裏切り行為のような気がして辛いです。
もっと前のめりに、主導権がこちらにある顧客へ、内容が厳しい募集商品を当てるように保有させる時は、先程挙げた「儲かる商品をやるかやらないか」の所の苦悩と対峙することになります。
いつも信頼できる商品だけを扱えるなら、これほど楽なものはありませんが、営業の実態は、少々違うところにあると表現せざるを得ません。
相場の環境に大きく依存する問題でもあるので、儲かる募集商品ばかりのこともあります。
顧客の好みとして新しいものが好きな方もいますし、募集商品がやり易いものだったり、自分としても魅力的に感じる商品が来たときは、成績を大幅に上げることができます。
顧客にも喜んでもらえますし、会社も喜び、自分も喜ぶ、所謂「三方良し」の状態だって存在するわけです。
WIN×WIN×WINで営業できる時は、かなり大きな充実感を持つ瞬間ですね。
最後は軸がブレたような感じになりましたが、今回の記事で、募集商品の中には良い物もあれば悪い物もあり、証券マンの勧誘は色々な理由の基で為されるのだとご理解頂けたら良かったかなと思います。
いつもの結論に達するわけですが、やはり投資というものは、誰かを信じて行うと言うよりも、情報の提供者として付き合うべきであり、自分の腹に落として投資判断をすることが重要なことだと思っています。
そのための知識を付けていって欲しいと思っています。
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