元証券営業マンの本音で語りたいこと

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利益が出ない時に証券会社はどんな考え方をするのか

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私の証券マン人生で成績上一番しんどかった時がリーマンショックより後の2010年だったかなと思います。

リーマンショックに絡む動きが精神的に辛かったのは間違いないですが、成績上のプレッシャーは2010年を下回ります。

種類が違うだけですので、どちらがまだマシだったかは難しい問題なのですが、今回は成績上、つまり証券会社の利益の面にフォーカスしてみたいと思います。

 

利益が出ない時に証券会社がどんな考え方をするのか見てみましょう。

 

 新規資金なんて入れている場合じゃない

対面営業の証券会社を利用するタイプの投資家は、ネット証券利用者よりも主体性は低いと言えます。

明らかな傾向として顕著です。

 

従って、儲かっていない時に「チャンスだ」と挙って新規資金を入れる投資家は少なく、「プロならリーマンショックくらい予見しろ」という見方で担当者を見ている人が多いです。

しかしながら、あれだけの経済的大惨事でしたから、自分の運の悪さとか、どこまで下がるか呆れている感じでしたので、担当者に詰め寄るような顧客は案外少なかったです。

 

ただ、それはあくまで日頃の関係が良好だった顧客の場合であり、関係の悪かった顧客とのトラブルは、かなり多くの営業マンが抱える形となったのは、想像の通りです。

実際に金融商品に絡む訴訟も業界全体で増えましたね。

 

そんな環境の中にあっては、投資家の投資意欲なんてほぼ皆無であり、マイナスの金融商品ばかりを抱え、身動きが取れない、若しくは取りたくないと考える投資家ばかりでした。

当然ですよね。

結果が結果ですし、損するつもりなんてなかったわけですから。

 

そうなると新規資金なんて入れている場合でないのは、担当者も同じであり、何とか時勢にあった商品に置き換えることを提案して、入れ替えを検討してもらえるように営業活動をしていくことになります。

 

回転売買については上記記事で一度まとめていますが、証券マンが簡単に手数料を上げるためには入れ替えをどんどん行って売買手数料を抜くことなので、顧客が新規資金を出したくない相場の時に、モタモタ新規資金導入なんてやっている場合ではありませんから、いずれにしても回転売買で手数料を上げようとします。

 

大きな損を確定する客がそんなにいるのか

いるわけないんですよ。

大きな損をどんどん確定して、先々に夢を馳せる顧客なんて。

 

どうにかしようとはしますよ。

全身全霊で顧客に説明します。

銘柄入れ替えの必要性や魅力を。

でも、動くはずないのですよ。

半値とかになっていますからね。

損する結果になるなんて、夢にも思っていない顧客と担当者ですから、信頼関係に重大な傷が入ってしまいますし、時代は不況そのもの。

動くことが、どう考えてもリスクが高いわけです。

 

それでも、なんとか動かしていかないといけませんから、必死です。

時にその情熱が顧客を動かすのですが、いかんせんパイは小さいまま。

それで良いと思っている自分と、それではいけないんだと思う自分の狭間で戦う気持ちは筆舌に尽くしがたいですが、動く客は少なかったですね。

 

小さな玉から考えること

アメリカ株が先行して株価の回復を始めたので、一定の時期からは外株の店頭取引きをメインにしました。

自分の戦略としてもそうだったのですが、会社命令が始まりでした。

 

その契機となったのが、外株の前に行っていた「外国債券」の販売です。

新興国の外国債券をメインにして、リーマンショック後の冷え切った投資家心理の中、利益を取りに行ったのが証券会社でした。

ランド債(南アフリカ)からレアル債(ブラジル)へと移っていきましたが、考え方は一貫していました。

 

それは、高い手数料率の商品で、ロットの小ささをカバーしようという考え方です。

ランド債の募集・販売をメインにした時期は約1年にも及びます。

当時10円前後だったランドで、取っていた為替手数料は0.5円。

ざっと計算しても5%の為替手数料が「行き」だけでかかります。

「帰り」もありますから、如何に高い手数料率かが分かるかと思います。

 

従って、証券会社の考え方は一貫しているということです。

利益が出ない時は、高い手数料率のものでカバーしようとするのが根っこにあるのです。

外株の店頭取引きの往復手数料は4%。

レアル債の募集では行きだけで5%強。

ランド債は前述の通りです。

 

新興国通貨の金利は先進国に比べて高いので、表面上は魅力があるように映りますし、円安に振れた時の振れ幅も大きいため、一概に新興国通貨を買うのが間違った投資判断とは思いませんが、それにしても取り過ぎでしょう。

金利が飛んでしまって、為替リスクだけが残る感じになる商品も少なくありませんでした。

 

営業マンの考え方

良い商品の販売が、結果的に自分の営業成績を上げますので、一時的な考えで高率の手数料を貰うことが正しいと考えていた人は少数派でした。

WIN×WINの関係で、顧客が儲かりつつ自分も高い手数料を貰うなら一番良いですが、手数料の高さは顧客の儲かる確率をそのまま削ぎますから、ランド債の募集に会社が偏重していった時は、各営業マンが危機意識を持っていました。

 

しかも1年とかの長期で同じ商品、さらにファンの少ない通貨をメインに取り扱うと、確実に捌ける量がへります。

顧客のニーズ自体が違うところにあるわけですから、募集は困難を極めました。

状況も最悪な中でしたしね。

 

それでもどうにか提案商品を買わせろというのが会社の考え方であり、営業マンに求めるものです。

しっかり交渉して、自分の提案商品を買わせるのが営業マンだろうと。

どうせ、大きな額が動かないのだから、手数料が高いものを販売しないと会社が持たないと言うわけです。

 

抗える立場ではありませんから、皆必死に販売をしていました。

全く納得のできない商品を。

もうやめてくれと願ったのが半年くらい募集をした時だったので、それから後の販売は全て無理やりですね。(自分の中で)

凄まじいほどの葛藤があり、飲みに行けば会社のやり方に対して本気で議論していました。

もう、グチのレベルではなかったです。

 

一貫した証券会社のやり方

この話は、私のいた証券会社のことを中心に展開していますが、業界全体の流れでした。

顧客への提案時に、同じ商品を他から紹介されていると聞かせれることは非常に多かったですし、個人的な付き合いのある同業他社の証券マンも同じ悩みを持っていました。

 

証券会社の扱う商品は、基本構造がどこも似たようなものですから、同業他社の状況をかなり気にしてみています。

奇をてらうよりも、乗り遅れるなという考え方の方が強いですね。

あそこでこれが凄く売れているという情報が入れば、すぐに商品ラインアップに加えようとするのも特徴でしょうか。

同じ提案を数社から受けた経験を持つ方は非常に多いはずです。

売れる商品=投資先の資金流入が多い=パフォーマンスが良い

という式が成り立つので、このようなことが起きます。

 

良い時は分かり易いですが、悪い時も右にならえ的な業界の動きがあります。

できることが限られていることもありますし、結果が出ている方法を取りたいとの思惑も絡んでいます。

 

即ち、利益が出ない時に証券会社が高手数料率の商品販売に力をいれるのは、業界で共通しており、回転売買も相まって顧客のパフォーマンスは相対的に弱くなります。

「相対的に」というのがキーワードなのですが、悪くなった投資環境はいつか必ず良くなるので絶対に損をするということではありません。

儲かることの方が多いです。

極僅かだったとしても。

 

つまり、動かなかった場合はもっと儲かっていたはずの顧客は多く出てきますし、手数料の分、儲けが少ない顧客は非常に多いです。

しっかり見ていれば、気付きにくい部分ではないのですが、結果だけで判断する場合は根本的な問題に気付けない場合があるので、注意が必要かもしれませんね。

コストを抑えるのは投資において基本中の基本です。

 

証券会社は利益追求しないといけないわけですので、潰れないように戦略上の動きを取るのは当たり前ですが、その時に顧客の存在よりも優先する考え方が「自分たちのこと」であり、「いかに赤字を少なくするか」ですので、覚えておいて欲しいなと思います。

 

まとめ

 今回は、利益が出ない時に証券会社はどんな考え方をするのかについて説明しました。

アドバイザー業務というより、売り子に近いのが、不況時の証券営業マンでしょう。

顧客のために資産運用アドバイスができるのは、あくまで儲かっている時の余裕がないといできません。

現実を知った時に落胆するのは、顧客だけでなく、実は証券マンも同じであり、自分の存在価値とも向き合うことになったりします。

 

一つの側面として知っておいてもらえたらと思います。

 

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