投資信託で現在の分配金がいつまで続けられるか調べる方法|分配金余力とは
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毎月分配型の投資信託を持っていると、その利回りが高いほど、その後にどれだけ同じ分配金が続けられるのか気になることがあると思います。
特に保有の投資信託の基準価額が下がってくると、分配金の減額が心配になりますし、買い付けの検討時にもイメージはある程度固めたいところです。
今回は、投資信託で現在の分配金がいつまで続けられるか調べる方法と分配金余力についてを説明していきます。
分配金余力の考え方
分配金の原資は、当期の利益と過去の利益の合算したものです。
当期の利益はそのままの意味なので、利子等の配当収益と売買損益ですね。
過去の利益に関しては、収益調整金と分配準備積立金の部分を差します。
少し分かり辛いので表を見て下さい。
グローバルソブリンオープン 運用報告書より
確認して頂くと、投機分配金の内訳が当期の収益と当期の収益以外に分かれています。
一番最初の期で説明しましょう。
まず、当期利益が1万口計算で13円ありました。
この期の分配金は、1万口当たり35円支払っているので足りないのは22円ですね。
その分が当期の収益外、つまり過去の収益である収益調整金と分配準備積立金の合計から出ています。
そして、残った過去の収益分は翌期以降の分配金で原資の一部になるので繰り越していくという形です。
よって、この繰り越している最終金額をみれば、分配金の余力が分かることになります。
説明が遅れましたが、今回例に挙げた資料は運用報告書であり、各運用会社が定期的に出していますので、確認を行う際は、そちらを調べれば分かるはずです。
分配金余力と分配余裕月数
分配金余力を調べたら、現在の分配金でその余力を割ると、分配金余裕月数が計算可能です。
厳密には、こういった債券もののファンドで利子収入がゼロになることはほぼあり得ませんが、売買損益が利子収入を越えてマイナスになる可能性はあるので、繰り越している部分だけを計算して余裕月数を算出します。
今回の例では197期が最後なので
283÷20=14.15月
ということになり、1年と2ヶ月は同水準の分配金を払い続けるだけの余力を持っていると言えます。
この水準は分配金余力として厳しい水準の一歩手前と言ったところでしょうか。
今すぐに分配金を引き下げる必要性は薄いものの、継続的に支払い続けるだけの余裕があるとは言えない状況です。
そのファンド毎に分配金に関する考え方があるので一概には言えませんが、余力がなくなってしまうと安定的な分配金を支払うことは実質的に不可能になります。
よって、1年分の余力がなくなった時点から分配金の金額変更を検討するファンドが多く、グローバルソブリンは今後引き下げの検討をする可能性がないわけではなさそうです。
私が証券マンだった時は、24か月以上を目安に、余力のあるファンドだと説明していました。
配当収入が期待できるファンドは、一気に分配金余力を失っていくことは稀ですので、あくまで安心感を得るためにはと言った意味で24か月くらいを目安にしたいところです。
気を付けるべきこと
投資信託を見ていて、分配余裕月数が12か月前後を下回るものは気をつけましょう。
分配金だけで判断をするのは間違った判断に繋がりますので、買い付けを控えるべきだとは思いませんが、継続的に同額の分配金がもらえるものだと思って買い付けるのは非常に危険と言えます。
特に毎月分配型の投資信託は、現状の投資家のイメージでは分配金を頻繁には変えられません。
それをしてしまうとファンドへの不安が増大してしまいます。
そう考えると、分配余力が減っていってその後もそれが続く可能性があれば、分配金を引き下げて、そこから安定配当できるように配慮しなければなりません。
従って、僅か数ヶ月の余力月数では分配金を引き下げるしかないわけです。
投資家の一部は、分配金を収入の一部として生活費に充てている投資家もいます。
分配金の性質を理解した上なら、その分配金をどのように使っても、その投資家の自由ですが、永続的に分配金が続く保証はありませんし、運用の成果で変わってくることがあることは念頭に置くべきでしょう。
その上で、分配金余力を確認し分配余裕月数を算出して頭に入れておくことで、より安定した運用に繋げることができるでしょう。
各ファンドの運用報告書は専門用語も多く、理解しにくい内容も多いですが、何度か見ていく内に少しづつ調べていくと、段々理解できることも増えていくと思いますので、まずは今回紹介した内容を確認してみて、活用ができるようになっていって頂ければと思います。
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