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投資信託を新規設定で買うメリットとデメリット

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投資信託を見ていると、時々「新規設定」「新発投信」等の言葉をみることがあるかもしれません。

 

投資信託が新しく生まれる時は、新規設定という言葉を使うことが多くあります。

 

新しい投資信託と聞くと、何だか魅力的な商品に思えてくる投資家もいるかもしれません。

 

今回は、投資信託を新規設定で買うメリットとデメリットを説明していきましょう。

 

投資信託を新規設定で買うメリット

 投資信託が新規設定される時は、メリットもあります。

3つのポイントで説明していきます。

 

儲けてもらうために考えられた投資信託設定

投資信託を新規に設定する裏には、当然値上がりが期待できる背景があって、運用成績が上がる見込みがあるからこそ、その投資信託が新規に設定されるわけです。

運用成績が良い投資信託が人気になるのは当然ですし、せっかく投資信託を設定するなら、多くの残高が積み上がっていく方が関連会社に取って良いに決まっています。

 

投資信託の新規設定は、その時の旬になっている投資対象で設定される割合が高く、設定から一定期間値上がりしていくことは多いという傾向があります。

 

切りの良い値段で買い付けができ、保有中の分析もし易い

投資信託の新規設定は、その募集期間中に申込みを行った場合、1万円(+手数料)で買い付けが可能です。

 

その値段が相対的に安いかどうかはその後の運用次第ですが、ネット等で運用中の成果を見る際もわかり易い値段で買えるのもメリットの一つです。

 

また、設定来からの保有ですから、各レポートを見る際も分析がやり易くなります。

 

投資信託の多くは、設定来の騰落率を毎回のレポートに載せることも多く、基準価額の推移も設定からチャートが作られているため、新規設定で持った場合、視覚的な判断がし易くなります。

 

初心者の投資家の方に取っては、分かり易さが魅力になるでしょう。

 

買う値段がブレない

新規設定の投資信託は、募集期間中であれば1万円で買えることがメリットだと挙げたばかりですが、値段のブレが大きい投資対象で運用する投資信託の場合は、値段がブレないことも魅力です。

 

買い付けした投資信託が蓋を開けてみたら驚く単価がついていたということは、そう多くなくても、珍しいこととは言えません。

 

特に値動きの大きい新興国株式ファンドなどでしたら、相場の環境によってはよく起こることでもあります。

 

その点で、新興国の株式ファンド等でしたら買い付け単価がブレないことはメリットになります。

 

1万円で単価がブレないので、投資元本と口数のバランスが取り易く、時間が経っても何も見ずにいくら投資したのか等を思い出すことができ、管理が簡単になります。

 

 

投資信託を新規設定で買うデメリット

後発商品の新規設定に注意

運用会社や販売会社の都合で、商品ラインナップの充実のために新規設定される投資信託があります。

 

調子の良い投資対象が現れると、それで運用する各投資信託の販売が進みます。

 

しかし、運用会社や販売会社がその投資対象で強いファンドを持っていなかったとすると、顧客が他の証券会社で買い付けを行ったり、新規客の取り込み損を起こすことが懸念されます。

 

時期が早ければ、問題なく新規設定のメリットを受けられることもありますが、後発になって、旬を過ぎそうな時にも新規設定が進むことが多いので注意をしてください。

 

売れているから作るという発想が新規設定の中にはあります。

 

そのようなファンドを掴んでしまった際は、その後ピークアウトしていく波にファンドが飲み込まれ、思いがけない損失を被ることがあります。

 

新規設定の投資信託は実績がない

新規設定の投資信託は、これから運用を行っていくもので、過去の運用成績が確認できません。

投資対象の値動きやその周辺情報はかなり細かいところまで資料を見ることができるのですが、一番重要なそのファンドの力を計るのができないことは、大きなデメリットと言えます。

 

同じ投資対象でも、小さな運用の違いが積み重なり、ファンド毎の運用成果は大きく変わってきます。

 

そう考えると、どの投資対象に、どのように投資を行うかは大事なことですが、実際どうなのかはもっと大事であると言えます。

 

それが確認できないまま買い付けを行わなければならないのは、少々考え物です。

 

純資産がどの程度積み上がるのか分からない

普通の新規設定のファンドなら大きな不安を覚えることはない場合が多いですが、少し変わった商品設計で新規設定されるファンドを検討する際は、注意をしましょう。

 

かつて証券マンの頃に、いくつかの少し変わったファンドを新規設定で募集した経験がありますが、募集販売が各社のノルマぎりぎりまでしか伸びず、その後の買い増しや新規買い付けも伸びないことで、何とも言えないファンドになってしまったことが何度かありました。

 

相場の問題もあったのですが、変わった商品を買うならそういったことがあり得ることを理解しておいた方が良いでしょう。

 

そういった商品は、値下がりを始めると、元々あまり強い信頼感を持っていなかった投資家が多い関係で、売却が進むこともあります。

そうなると、純資産がさらに寂しいことにもなりかねません。

 

 

 以上、投資信託を新規設定で買うメリットとデメリットについて3つずつポイントを挙げて説明しました。

 

新規設定だからダメで、新規設定だから良いというのは、投資信託ではありえない考えでしょう。

 

結局、その後の値動きが結果を決めます。

 

好き嫌いはあって当然ですが、最も大事なことはその後の見通しでしょう。

 

そういった視点で投資信託を選ぶことに注力しましょう。

 

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