投資信託は残高が多いほど良いのか~純資産ランキングと投信の実力
スポンサードリンク
投資信託の残高に注目してファンド選びをしたことがありますか?
純資産ランキングに常連の銘柄は、安心感があって、何となくファンド選びをする時はランキングを重視することがあると思います。
確かに投資信託は、ある程度の残高が無いと運用ができないので、ファンドに溜まった純資産は運用資金として大切です。
では、優秀な投資信託を選ぶ際、純資産ランキングと投信の実力にはどのような関係があるでしょうか。
今回は、投資信託は残高が多いほど良いのかを考えてみます。
投資信託の純資産に関する知識が少ない方はこちらを先に読んだ方がいいかもしれません。
純資産ランキング
2015年2月現在の純資産ランキング(ETF除く)は次の通りです。
2015年2月現在で純資産総額が1兆円を越える投資信託は5本だけです。
見る人によっては、この数字が多いと思うのか、少ないと思うのは違ってきますが、2014年に1兆円ファンドが5本になったのは、約6年ぶりのことで、過去最高の本数に並んだ形です。
米国の株式相場が堅調に推移し、リスクを取れる投資家が増えたこともあり、円安に振れたことも大きかったですね。
多くの投資家が円安メリットを享受しました。
次に2014年の年間の騰落率ランキングを見てみましょう。
騰落率ランキング(2014年)
当たり前のように株式で運用する投資信託が並びました。
円安に行く時は、リスクオンになる場合が多いので、好調なインド株で運用する投資信託が運用成果を伸ばしました。
先進国より新興国、大型株よりも小型株の方が値動きが軽くなることから、騰落率ランキングでも上位に「インドの中小型株」で運用するファンドが入っていますね。
どれだけ儲かるかだけを考えて投資信託を買う人は少なく、リスクに見合ったリターンを期待でき、且つ利益を取れる可能性が高いと感じた時に投資信託を買うわけですから、純資産ランキングと騰落率ランキングの銘柄が全く違っていることに違和感はないかもしれません。
しかし、投資家の動向を見ていると、「人気」で投信が選ばれる現実があります。
ランキングにも数種類ありますから、今回取り上げている「純資産ランキング」だけで語ることは誤解を招くことも懸念されるのですが、今回はここに注目します。
大きい投信が安心
先程挙げた2つの表を見てみると、どうしても例が極端な印象を与えてしまうかもしれないのですが、投資信託の各ランキングを見てるとそれぞれで上位の銘柄がかなり違っています。
初心者の投資家は、どのランキングを見て買う投資信託を選べば良いのか迷ってしまうことも多いと思いますが、「大きい投信が安心」という考えを持つことは非常に多いと言えます。
純資産ランキングは、その時点でその投資信託を持っている人の総額ですから、所謂人気銘柄と言う意味では「旬」を表しているとは言えないのですが、「大きさ」についてはそのまま表せています。
何となく大きいものは安心だと感じる人が多いのは、日頃の生活から得た経験則が影響していると思われます。
小さな会社のサービスを使っているとトラブルに弱いですし、突然なくなったりすることもしばしばですからね。
大切なお金の運用でトラブルに見舞われるのは避けたいです。
投資信託を買う場合も、日頃の生活と一緒くたにして考える人がほとんどだと思います。
「人気の銘柄、大きい銘柄を投資信託でも選ぶべきだ」
人気になるには相当の理由があるはずですし、数多くある投資信託の中から実際買う銘柄を選ぶのに、何のフィルターも設けないで探せば、どれだけ時間がかかるか分かりません。
大きい投資信託に目を付けて、そこから自分にあったものを選ぶこと自体は、間違っているとは言えないでしょう。
しかし、先程の二つの表をみても分かる通り、大きい銘柄のパフォーマンスは必ずしも良いわけではなく、相場が活気付いて投資をしていると儲かるのではないかと考えた人が、大きな銘柄を選んでは、思った通りの儲けを得ることはできません。
純資産ランキングもその他のランキングも、投資においては万能ではないんですね。
そのことは、忘れてはいけないことです。
日本人の感覚として、右に倣え的な発想がよく指摘されます。
オリジナリティーよりも、村八分にされないことを重視します。
これが、大きなファンドがよく買われる理由にもなっていると思っていますし、繰り返しになりますが、これまでの経験則からも大きな投資信託、人気の投資信託を選びたくなります。
実際に現場で販売していた頃も、お客さんの反応が良かった言葉が「今、買われています」とか「今、人気です」と言ったような他の投資家の動きに関することでした。
「上がっています」とか「儲かっています」という言葉の方がダイレクトに投資意欲を掻き立てるような気がしますが、意外と前者の方がウケが良かったわけです。
経験が長い人ほど、後者を重視するように変わっていくイメージですね。
まだ投資信託をよく分からない初心者の方は、大きな投資信託に安心感を覚える傾向がありますから、証券マン時代は投資家レベルによって提案銘柄を変えていました。
「みんな持っている投資信託」には何となく安心感を抱きます。
投資信託にはベンチマークが存在している
純資産ランキングの上位銘柄がパフォーマンス面で優れているとの認識を持っている方が多いのかもしれませんが、投資信託にはベンチマークが存在しており、基本的に市場平均に見合ったパフォーマンスが得られるように運用しているものが多いです。
日本株で言えば、日経平均やTOPIXと連動して動くように運用していく形ですね。
従って、純資産ランキングで上位にいるからと言って、優れた投資信託だとするのは間違いのもとかなと思っています。
純資産ランキング5位のグローバルソブリンを例に取れば、全盛の純資産総額から比べて1/6近い純資産しか無くなっていますし、大きなファンドと言っても、それぞれで事情も異なっています。
純資産ランキングによって、調べる目星をつけて、そこを入り口に色々調べてみるようなアプローチは有効ですが、自分の運用方針を主軸にして選ばないと、結局はその投資信託が設定しているベンチマークに似た運用成果にしかなりません。
ランキング上位銘柄なのだからベンチメークよりも優秀な運用成果をだしているのだと思って調べてみても、案外当てにならないことに気付かれるでしょう。
グロソブの全盛期に証券会社にいたのですが、中身のパフォーマンスを知っている人の割合は5割くらいで、後の方はイメージで買い付けにくるような感じでした。
ベンチマークとの比較は、運用レポートなどで一目瞭然ですが、ランキングの上位がベンチマークに勝った動きをしているか言えば、結論から言ってそんなことはありません。
あくまでファンドの入り口に使うべきだと思います。
純資産ランキングと投信の実力
これまで述べてきたように、純資産ランキングと投信の実力には、明確な相関性は無いと思っています。
全ては、グロソブがそれを証明しているかなと思います。
1兆円を越えるファンドにまで育つには、それなりの理由がないといけないので、ひとつひとつには、他の投資信とは違った何かがあるはずですが、そこを紐解いていくよりも、自分が目指す運用スタイルやリスクとリターンのバランスをどのようにしていくかの方が大事です。
純資産ランキングも30位くらいまでしっかり見ていくなら使い道はありますので、トップ10とかに拘るようなことがないようにしましょう。
投資信託は、大きいことでのメリットはそこまでありまぜん。
小さいと問題が出てくることもあるのが現実ですが、1兆円ファンドに拘る必要はないですし、1000億円規模のファンドの数はかなり多いです。
旬を去って資金流出が激しいファンドを避けていれば、いきなり運用をやめることもほとんどないはずですので、規模よりも運用成績や運用方針の方を重視しましょう。
まとめ
今回は、「投資信託ひゃ残高が多いほど良いのか」をテーマに、純資産ランキングと投信の実力についてまとめてみました。
色々な面でこれまでの経験則が活きない投資の世界ですが、規模の面でも同じことが言えようかと思います。
純資産を無視して考えてしまうのもよくないですが、拘りを持って人気銘柄を買おうとするよりは、ベンチマークの存在もありますし、自分の考えや取りたいリスクに合わせて投信選びをする方が、納得のいく投資に繋がると思います。
ランキング銘柄は入り口にして、いくつかのファンドを比較してファンド選びをしましょう。
ランキングはこちら