会社の飲み会で調子に乗った証券マンの末路は|無断遅刻したら通報されそうになった話(後編)
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前回の続きです。
あらすじを簡単に説明します。
とある打ち上げの飲み会が終わり、終電で眠りこけた私は終点駅まで連れて行かれます。
そこで紆余曲折を経て、とある女性をナンパし、めくるめく夜(どう考えても早朝だったが)を過ごして、目覚めた瞬間からこのお話はスタートします。
見知らぬ天井
目が覚めるとそこには見知らぬ天井がありました。
二日酔いの頭で、その意味に気付くのには数秒の時間を要しました。
今日が何曜日だったかも定かには分かりません。
ただ、いつも見慣れた風景が無いのは分かったので、たどたどしい記憶を呼び起こすと、私が何をしたのかがぼんやりと分かりました。
それと同時に時間を確認します。
もう9時だ・・・・・・・
そう、私は無断遅刻をやらかしたのです。
いてはいけないはずの女性は、確かにそこにいて、私がそれが現実であることを認識します。
私は、完全にパニックになります。
しかし、私に取ってはその事実があまりに大き過ぎて、体は固まりました。
前日は飲んでいたのを全員が知っている状況です。
言い訳はできず、ただ理由を伝えるしかありません。
打ち上げ→終電で終着駅→女の子ナンパ→見知らぬ天井
ああ、そうか。
別にあの後どうなったかなんて言わなくていいんだ。
誰もそんなこと興味ないし、私が遅刻したのはいずれにせよ寝坊のせい。
寝坊した原因は、お酒を大量に飲んで、朝まではしゃいでいたから。
それがから騒ぎだったとしても。
結局、30分くらいはそのまま腕を組んで考えていました。
もう10分20分急いでも仕方ありませんし、対応を間違えるとお仕事失いますしね。
ようやく寝坊の事実を受け入れて、説明の仕方を考えた私は、後輩に探りを入れることにします。
この時間ならあいつは飛び込み営業のために外にいるはず。
数コールで電話を取ってくれたのはせめてもの救いです。
「おお、今だいじょぶか?…俺、やっちまったよ」
「どうしたんすか?みんなヤバイくらい心配してましたよ」
(怒ってない!!よっしゃ)そっちが先に浮かびました。
「まぁ色々あったからさ。電話した方がいいんだけど、大丈夫そう?」
「通報しろとか騒いでましたよ」
「・・・」
普通の会社って無断遅刻で通報しますか?
まだ2年目でそこら辺のことが分からないので、もう少し話を聞いてみますが、電話した彼はその話の最中に出てしまって、その後は分からないとのことでした。
まじか、大事になっているのかな・・・
流石に凹みましたね。
これが死亡フラグなのかとも思いました。
怒るのを通り越えて警察沙汰。
お母さんの顔まで浮かびます。
電話を置いて、取り敢えず一人になりたくなった私は彼女に「またね」と別れを告げ外に出て、疲れ切って眠りについた携帯に命を吹き込み、留守電を確認すると、想定通りに事のヤバさを伝える履歴が残っていました。
当然ですね。大丈夫、これは想定内。
さっき聞いたことが事実だっただけ。
自分を冷静に保とうと必死にマインドコントロール。
取り敢えず、どうしようもないので、腹を決めて支店に電話を掛けることにしました。
「すみません。寝坊しました」
散々考えた報告の仕方は結局周り巡って超シンプルな答えでした。
2コールぐらいだったでしょうか、出てくれた女の子はいつもと声が違っていました。
本来なら一声かけるところですが、すぐに直属の上司に電話を変わってもらいます。
恐怖の一瞬ですね。
「何やってんだ!!今何時だと思ってる!!!」
確か、こんなことを言っていたと思います。
ここは曖昧ですね。
受け止めることは不可能で、他のことを考えて意識をそらしてました。
何か適当に言ったと思います。
最初の一言で吹っ切れたので、ここはただただ謝って済ませました。
意外と本当のピンチってできることが少ないですね。
後の祭りとはよくいったものです。
取り敢えず出社しろとの結論に達し、40分くらいかけて向かいました。
支店に着くと、騒ぎは既に収まっていたようでした。
電話が繋がられた瞬間に、上司が支店長に報告していたのが分かったので、直属の上司に一声かけてから、すぐに支店長の所へ向かいます。
意外に支店長からは強烈なお咎めはありませんでした。
後からわかったのですが、支店長も若かりし頃に似た経験があったようです。
見知らぬ天井を見つめたのかは聞けませんでしたが、前日に支店の飲み会があったので、私が無事だったことにほっとした様子でした。
通報まであと30分
何人かに囲み取材を受けてから、自席に着くと、先程長く話せなかった上司が私を呼んで、会議室にて二人になります。
既にこの時は怒っている様子はなかったのですが、覚悟を決める瞬間ですね。
私だって、こんな部下は怒鳴り付けるでしょう。
何時間の遅刻だよって話です。
しかし言葉は概ね穏やかでした。
「心配したよ」
社会人としての常識や、周りの心配、お客さんとのこと、お金のこと。
色々と話をしてくれました。
その中の「心配」については、私に衝撃が走る言葉が混じってました。
「後30分くらいで通報しようと決めてたんだ」
後輩の言っていてことはどうやら本当だったと、この時に知ります。
アブネー。
正直、これ以上の感想を抱くことができませんでした。
通報を遅らせた理由は、前日に会社の飲み会をやっていたかららしいです。
体裁も考えたと聞きました。
当然、だからこそ私は責任ある行動が求められたわけであり、いらぬ心配まで多くの人にかけてしまったようです。
やっと反省するまで冷静になれる言葉でした。
その後もこの事件は、私の武勇伝として、生き恥として、チョクチョクいじられるネタになりましたが、案外どうにかなるものだなといった感じの影響に留まります。
ほんとに洒落にならないようなことは、攻めようとする気持ちがため息に変わるのかもしれませんね。
後にも先にも、こんなことは私だけでしたので、他人事として客観的にこのことを振り返ることができていないだけかもしれませんが。
昔は失踪する証券マンもいたらしいです
少し落ち着いてから違う上司から聞いた話なのですが、昔は失踪する社員がいたらしいです。
私の無断遅刻は、そのことと強く結びつけられたようなんですね。
だから、私を怒らなかったみたいです。
生々しい記憶が蘇るとのことでした。
当時は、いきなり来ないくなって、家に行ってみると、本人がいない。
どこに電話をかけても捕まらなくて、そのまま。
鬱の話を書きましたが、それとも少し違うようでした。
昔は、詰め方がかなり荒っぽかったようなんです。
吊るし上げがひどくて、朝会で全体の前で詰めることも良くあって、それはまさにやめさせるために存在していたとの話をこの時初めて聞きます。
私が経験した吊るし上げは、皆が聞き入っているような状態で行われることはなく、聞いているけど聞いていない振りをできるような環境で行われていたので、レベルの違う話です。
その上司の話ぶりは鎮痛そのもので、とても暗い話でした。
支店で一番できていない人を毎朝吊るし上げて、精神の限界まで追い込む。
そうして辞めていった後は、また一番できない営業マンを吊るし上げの対象にして、無限遷移するそうです。
私が経験してきたことを踏まえると、大凡の風景は浮かびますが、きっと想像以上なんでしょうね。
朝会なら時間が短いかもしれませんが、証券会社で「詰められる」場合、1時間以上もザラにあるので、末恐ろしい話です。
その上司からは、「何かあったら相談しろよ」と声をかけられ、その話は終わりました。
やっぱり、心配させてはいけませんね。
私が飲み会でおかしくなったのは日頃のストレスが原因だったのではないかという反省が上司各自にもあったようです。
愛のある職場だとこの時ほど感じたことはありませんでした。
それを感じるなら、別の時でなくてはいけなかったです。
今でも、この事件が忘れられない理由の一つです。
まとめ
長らくお伝えてしてきたこの話もやっとまとめを迎えました。
最後まで読んで下さり、ありがとうございます。
今回のお話は、結局いくら時が経とうが当時支店にいたメンバー以外、誰にも言わずに今に至ります。
構成力も含めた文章力がないことで表しきれませんが、大きなトラブルでした。
それをきっかけに、聞いた最後の部分の話は、その後に私を支える話となり、上司たちは、もっとしんどいなかで続けてきたんだと思うことで、救われることがありました。
そう考えると、証券営業も当然ながら洗練されてきており、その流れは続いているのでしょう。
法律の整備も進んでいますし、将来は私のイメージとは違うものになるのかもしれません。
最後に「無断遅刻で学んだことは大きかった」とまとめて、このお話を終わります。
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