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相場の勢いが強くなる理屈を理解しよう~ボラティリティ上昇局面

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株式相場を見ていると、これ以上上がらないと思うところからどんどん上昇していったり下降していくことがあります。

 

その時はボラティリティ(変動幅)が上がり、相場の勢いが強くなることが多くあります。

 

こんなところからよく売れるなとか、よく買えるなと思うことがあると思いますが、そういう人がものすごく儲かったりもします。

どんな理屈でそのようなことが起きているのでしょうか。

 

今回は、相場の勢いが強くなる理由を理解するために、どのようなことが起きているのかを見ていきましょう。

 

株式相場は欲望と恐怖が渦巻いている

投資というのは、とどのつまり儲けたいという気持ちから成り立っている部分があります。

本来の意味の「投資」を行っている投資家もいますが、極僅かであり、ほとんどの投資家は投機色を帯びた投資家と表現するべきでしょう。

 

先日、ソフトバンクがアリババ株で8兆円弱の利益を得ました。

実に投資期間は14年に及び、さらに保有を続けると孫社長が発表すると、大変話題になりました。

 

この例が投資というものをそのまま表していることは明白ですが、ここまでの期間や額でなくても、腰を据えて投資をし、その企業の成長を楽しみに何年も持つという人は数と量ともに少ないのが現状です。

 

つまり、自分の損益で投資行動を決めている部分が大きく、気付かぬ内に投機色を帯びた投資活動を行っているのです。

 

投機には、人間の感情が強く影響していきます。

儲けか損かで揺れ動く世界は、どうしても感情が渦巻く世界になってしまい、それが相場の勢いが強くなる理屈に関係していきます。

 

儲けたい、損したくないという感情が相場の勢いを増していく

株式が上がり続けると、もうここら辺が天井だろうと思うことがあると思います。

しかし、そう思ってからものすごい勢いで上がり続けることもあります。

 

どんなことが起きているのでしょうか。

 

まず、上がり続ける相場では、市場の参加者が増えていきます。

儲けを出した話を聞いて、新規に参入する人がいますし、塩漬け株がやっとトントンになって、新たに動き始める投資家がいます。

 

さらに、もう天井だろうと思っていた投資家も、その後の動きで色気づき、再度相場に入っていく投資家も出てきます。

 

もうこれ以上上がらないだろうと思ってから上昇していくのを横目で見送るのは意外と難しく、せっかく株を持っていたのに売却してしまって、その後の上昇を利益に出来なかった悔しさが背中を押して、再度株式を買い付けてしまうことがあります。

 

そこでさらに儲けを積み増せれば、どんどん銘柄を入れ替えて利益を取ろうとしてしまい、そんな人と新規参入がピークを迎えたところで、やっと相場は天井を付けて急落していく道を辿っていきます。

 

この時の投資行動は、非常に単純な図式になることがあります。

 

相場が上がっているから欲望が勝ち、それでも高いところで買っている自覚はあるから下がり始めると、恐怖のまま手仕舞いを行うわけです。

 

さらに、その行動は、初心者が参入している状況程顕著になり、儲かるから株をしていた人が一気に逃げ出すのです。

 

儲けたい気持ちと損したくない気持ちが、最も顕著に相場を形作る瞬間が相場の天井と底の動きの特徴ということになります。

 

従って、天井からさらに値上がりを続ける時は、相場が浮かれている時であり、有名な言葉を使えば、

強気相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観とともに成熟し幸福のうちに消えて行く

        株式 相場の格言・名言・ことわざ集より

 

ということになります。

 

儲かれば気分が良くなり、さらに上昇を続ける相場に楽観し、幸福感を覚えていくことになります。

 

しかし、一方で素人までどんどん参加をしてきたり、長らくシコっていた株まで動き出せば、次の動きは期待しにくくなってしまうことも事実であり、いずれその相場が終わるのは明白です。

 

ただ、それがいつどこでなのかは誰にも分からないからボラティリティが上がるとも言えますね。

 

相場の末期は単純ではない

相場の勢いが強くなる理屈は、これまで説明してきたことにプラスして説明が必要です。

 

それは、天井や底の動きは単純ではないということです。

 

一度止まったかのように見えたところから、再度トレンド方向へ進むことはかなりの確率で発生することです。

 

その時に、普段より高ぶっている感情が再度影響していって、相場の勢いを強くしていきます。

 

一回下がってから上がる相場では、その下げで損失を被った投資家は必ずいますので、チャンスだと思えば、また参戦して損失を埋めようとします。

 

天井や底の相場ではそういったことが毎日繰り返されて、結果としてその後の動きが天井や底を決めていきます。

 

天井や底を付ける時の特徴は色々とありますが、結果的にどのような動きをするかで決まってくる点は、株をするなら理解しておかなければなりません。

 

あくまで確率の問題でサイン等は論じられるべきであり、売ればもうかるなら誰でも売るはずですし、逆もしかりです。

 

そういった思惑が一番交錯するのが、ピークを付ける時の特徴です。

 

私は証券マンとして新人の頃に、ものすごく値上がりしたある銘柄のチャートを手元に上司にこういう質問をしました。

「この株はもう売った方がいいですか?」

担当した顧客に勧めた銘柄が急激に値上がりしたので、もう売り時かと思い、聞いてみたのですね。

 

答えは、

「売ってもいいんだろうけど、株は腐りかけが一番旨いところだからな」

 

この言葉がきっかけでかなり勉強しました。

 

ちなみにその銘柄は、そのまま上がり続け、2倍にまでなったのでした。

腐りかけは確かに旨いという経験をしながら勉強できたのは大きかったですね。

 

たまたまその顧客が本当の投資をしていたので売却を見送り、結果的には2倍になり、そこでも売らなかったので最終的に元の戻ったのが、この話の結末なのですが、週に2~3度フォローしていた顧客でしたので、その間の値動きは全て細かく見ていました。

 

まだ若手の頃ですから、その銘柄が上下に動くたびにアタフタして、感情のままにその顧客と向き合っていた記憶があります。

 

そんな私の若手の頃のような投資家で溢れるのが天井圏の特徴と表現しても良いでしょう。

 

投資経験が長い投資家でも、ボラティリティの上昇局面ではなかなか冷静な判断が難しく、だからこそ変動幅が大きくなるとも言えます。

 

相場全体が天井圏にある場合は、個別の銘柄はさらに難しくなりますし、相場が落ちついていても個別の銘柄の事情で、ボラが上がることは往々にしてあることです。

 

勢いがつく理由は、相場参加者の上昇と感情に寄るところだと説明してきましたが、そのような影響が自分の投資行動にも影響を与えることをよく自覚して株式取引を考えるべきでしょう。

 

分かっていても実際にはできないということが、相場ではよく起きます。

そこには対策が必要なので、ボラが上がった銘柄には手を付けないルールと言うもアリだと思います。

 

自分の軸をもってトレードできるようにならないと怪我の素になってしまうので気を付けましょう。

 

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