チャートから見えない板読みの有効性|株は板を使えるようになろう
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株の板について2つ目の記事です。
前回の板読みの所では板の変化について書いていますが、今回はそれをチャートの出来方との関連性で説明したいと思います。
注文の出方や出来方がわかる板は、チャートでは見えないものが見えるので使い方がたくさんあります。
成立した注文は同じでも板は違っている
株の買い注文を出すと集計されて板に並ぶわけですが、その状況によって様々な投資判断が下されます。
他者の動向が分かるので、「待っていれば買えそうだ」とか、「もう一つ値段を上げようか」など、思惑は絶えず交錯していきます。
株のトレードを行うならチャート分析は欠かせませんが、板の存在を無視してしまうと、せっかく株ならではの情報なのに勿体ないです。
特に、板の情報にはあって、チャートの情報にはない部分もあるから尚更です。
実際にどんなことがチャートに載らない情報なのかを見ていきましょう。
このチャートが下のようになったとします。
↑300円の買い注文が10万株増えました。
そして、次のようになります。
先頭の買い板が10万株増えましたが、すぐに10万株の売り注文が出てきて、結局元に戻ってしまいました。
ここで、皆さんはどのような印象を持ちますか?
もしこの株を買おうと思っていたら、ちょっと嫌な感じがしませんか?
値段のやりとりは、300円と301円で売り買いが順次できているので、チャートを見ていても特に何も感じませんが、板を中心に見ていると、たった数分でも印象が大きく変わります。
例に示した板の変化では、10万株の大口注文が先頭の買い板に出現し、一瞬強含みますが、次に10万株の大口売り注文で元に戻ってしまい、買おうと悩んでいたトレーダーに取っては買うのを躊躇する形です。
もしかしたら大口の売り注文を出した投資家はまだ売りさばきたい玉を持っている可能性がありそうに思えますし、少なくても301円の売り板には買い注文をぶつける必要はなさそうです。
次の例を示します。
同じ板からの変化を見ていきます。
↑ここで300円の売り注文が10万株出ました。
そして次のように変わります。
こちらも元に戻ったとしましょう。
出来た株数は先程の例と同じく300円で10万株です。
一度大口売り注文が出て下がるような気配を見せた後、すぐに大口買い注文が出て結局元に戻ったパターンですが、印象はいかがですか?
先程と同じように300円で10万株が出来たのですが、印象は大きく違って、強さを感じるのではないでしょうか。
一瞬弱気になりかけたところに大口の買い注文が来て値段が戻ると、「買い支えている大口がいそうだ」とか、「下がるなら買いたい人が多いのかな」という印象を感じます。
買いたいと思っていた投資家に取っては安心感が出る状況でしょう。
このように同じ10万株の商いでも印象は大きく変わります。
しかし、チャートを見れば300円で10万株が成立しただけとの情報のみです。
分析にチャートを使うのは基本中の基本ですが、板読みを組み合わせることで最後のトリガーに精度を与えることができます。
板の印象が変われば、投資家の動きが変わり、それが遅れてチャートに表れていくイメージですね。
この部分は株ならではですので、覚えておくと良いです。
板の情報を処理する
前回でも板の状況は上書きでどんどん変わると説明していますが、もう少し細かく説明しましょう。
買い注文が入ってくることは、通常、強気に考えます。
買いたい人がいることを示しているのですから当然ですね。
しかし、それにも拘わらず、同数若しくはそれ以上の売り注文が出れば、今度は弱気になっていきます。
「こんな買い注文出たのに、強気にならないならいったいどうやって上がっていくんだろう」との思惑を呼ぶからです。
売り注文をどんどん削っていくような断続的買い注文が出ている時も、売り板をしっかり消せなければ同様に弱気のサインです。
後から後から湧いてくる売り注文の方が脅威に感じ易いです。
同じように「どうやってあの売り板を消せるのだろう」と強気に構えていたトレーダーさえ弱気になるからですね。
従って、何かのアクション、つまり今の例では買い注文が入ることで、起るリアクションが大事になってきます。
「仕掛けたけれど失敗した」
これは大きいです。
買いに行ったけど予想以上の売りに押されて買い板が削れないということは、逆の立場、売りたい人から見れば先に売っておく方が無難な選択になるだろうと予想します。
そう考えると、大事なことは自分の目線に拘り過ぎないことです。
買おうとして見ていたとしたら、時々買い注文の状況のみにフォーカスしてしまいますが、それは間違いであって、売り注文が相殺するように出てきているのなら、売りたい人はより弱気に傾くことを念頭に置いておかないといけません。
高い値段で売れる可能性を否定する動きですから、様子をみていた投資家は買いがきてもさらに売りが出る予想に変わり、売り手からすれば早く売ってしまう方が有利な投資判断となります。
今見えている買い板が消滅する可能性が高まりますよね。
誰かが買いに来れば、リアクションが起きます。
買いたい人は先に買わないと上がっていく可能性がありますので。
しかし、そういった人が出ないまま逆に売りが出るなら、その状況で強気に見ている人が少ないと予想できます。
買いたいと思っていたならその波に乗るはずだとの判断です。
しかし、そうではなく、売りたい人が「今がチャンス」とばかりに売りを浴びせるなら、今後の展開は弱気だろうと判断できます。
このように株の板は時系列で見ていきましょう。
ガンガン上書きされていきますので、流れを見極めます。
何度もお伝えしているように、株は心理で動きます。
一番強い心理は「恐怖」ですが、「欲望」も弱い心理なわけではなく、色々な感情が株価を形成します。
それを数字で視覚的に表しているのが、チャートであり、板です。
情報を増やしてしまうと処理が大変で、自分のルールも混乱しかねない問題はありますが、板のみを利用してトレードしている人もいるくらい使える情報ですので、研究してみると良い影響があるかもしれません。
まとめ
今回は、チャートから見えない板読みの有効性を紹介しました。
株はチャート分析を基本としながらも、板からの情報をないがしろにするべきではないと思っています。
他者の注文状況が見える板は、使い方でトレードが変わります。
中には注文をいくらで出すかだけを気にして板を見ていた方もいたと思いますが、せっかくなのでもう一歩先まで行って、板読みを勉強してみましょう。
顔を変えていく板を見る時は、後から出てくる注文や、リアクションを見ていると分かり易い動きをしていることがあると思います。
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