ネット証券などが投資信託を手数料無料で販売できる理由
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ネット証券が投資信託を手数料無料で販売できる理由を皆さんはご存じでしょうか?
初心者の投資家が、「手数料無料」と見ると、何だか怪しげに見えてきてしまうこともあるのかなと思って、単体の記事にまとめておくことにしました。
しっかり理屈を理解していると安心感は増すはずなので、今回は投資信託をノーロードで販売できる理由を説明していこうと思います。
ノーロードで販売するとどんなことが期待できるのか
実は、私の勤めていた証券会社も手数料無料で投資信託を販売したことがあります。
私がまだ若手の頃で新規開拓・預かり資産増が目標の頃でしたので大変重宝したものです。
日本人の投資家は、消費行動と投資行動を特に明確には分けていないこともあって、手数料無料は、お得感を持ってもらえました。
このような経験の話しからも分かるように、投資信託を手数料無料で販売することのメリットは、顧客増・買い付け額増を期待できるところです。
誰でも、同じファンドを買うなら手数料無料がいいですし、日頃の生活の中でもコストは低いほど良いことを知っています。
従って、投資信託を手数料無料で販売する理由は、顧客開拓や他の証券会社との競争力増加、預かり資産増による信用力の増加等がメリットとして挙げられます。
しかし、それだけでは投資信託を手数料無料で販売できる理由としては、正しくありません。
一番重要な理由を説明していきます。
投資信託を手数料無料で販売できる最大の理由
投資信託の手数料として有名なのは、買い付け手数料と信託報酬です。
ノーロードで販売するということは、買い付け手数料が販売するネット証券に入ってきません。
では、どのようにして儲けを出しているのでしょうか。
そのカラクリは、信託報酬に信託報酬にあるのです。
信託報酬についてよく理解されていない方は下の記事を先に読んだ方が良いかもしれません。
信託報酬は販売会社にも入る
スマート・クオリティ・オープン交付目論見書より管理人作成
上の表は、2014年11月14日に設定された三菱UFJモルガンスタンレー証券が販売しているバランス型の投資信託「スマート・クオリティ・オープン」というファンドの信託報酬支払先への配分表から、作成したものです。
このファンドは、3つのコースに分かれているので、配分表もそれぞれで数字が違っています。
バランス型の投資信託ではよくあることですね。
表をよくみて頂くと、販売会社にも信託報酬が支払われているのが分かります。
しかもその率は意外と多くなっていますよね。
知らなかった方も表を見てお分かりのように、投資信託を手数料無料で販売できる最大の理由は、信託報酬が販売した証券会社に入るからです。
薄利多売で利益を取れる
投資信託を買い付ける時、表に出ている買い付け手数料を気にするのは、実は販売する証券会社も同じでした。
それが、少しづつ安定収益を求めるようになっていき、その根幹を支えるものとして重要性が増してきたのが、信託報酬です。
手数料を無料にすることで、他社との競争力が増し、潜在ニーズまで引き出せるとしたら薄利多売が成り立ちます。
従って、手数料を無料にしている証券会社だけでなく、対面営業の中でも信託報酬を安定収益にしたいという欲求は年々高まっているのが現状です。
ちなみに例に挙げた三菱UFJモルガンスタンレー証券が販売しているバランス型の投資信託「スマート・クオリティ・オープン」ですが、これは販売手数料が無料で、担当者が顧客の家を訪問しながらでも販売をしています。
(実は勧誘を受けました)
あくまで一例であり、このファンド自体の評価は今回控えますが、安かろう悪かろうの判断には、慎重になって欲しいなと思います。
実際の投資活動への影響
投資信託には、お店毎の値段におけるセールがありません。
相場の状況次第で、値動きをするので所謂セール状態になることはありますが、ここで買うと損だとか得だとかの概念は販売手数料以外ではないと言えます。
従って、買い付けの手数料は安い方が良いと言えますし、そこで差がついているのが現状です。
少しでも安い手数料で済ませることは重要ですし、その差はダイレクトに投資成果となって現れます。
コスト面で信託報酬も大事ですが、それはどこの証券会社で買い付けを行っても同じだけ基準価額から差し引かれています。
大手の対面営業の証券会社に安心感があるのは誰もが認めるところでしょうが、ノーロードで販売できる理由を理解すると、ネット証券の手数料の安さは際立つメリットになってこようかと思います。
私の勤めていた証券会社でもノーロード商品があったと先程触れましたが、実際にそのファンドの販売はすごくやり易かった印象が強くあります。
店舗を構える大手の証券会社が、全ての投資信託を手数料無料で販売する時代になることを望む声は大きいのかもしれませんが、少なくてもそれはもっと先の話しになりそうです。
最近は、株高円安でネット証券の預かり残高を増えてきており、母体の健全性を高めつつ競争力も増しています。
信用力を勘案することは、正しい行動の一つと言えますが、手数料が安く済むことのメリットとよく比べてみることが重要でしょう。
相対的に優位性が高い投資行動が求められます。
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