投資信託の運用成績を見る時は分配金を考慮しているものを見るべき
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投資信託の運用成績を分析する際は、分配金を支払った後の基準価額の推移を見ていますか?
そのこと自体は決して間違いではないのですが、分配金を考慮したものを見ると、もう少しはっきりと投資信託の運用成績が分かります。
上の記事で、毎月分配型の危険度をチェックする簡単な方法として基準価額の推移を確認するようおすすめしているのですが、今回はもう一歩先である、分配金考慮後の基準価額を確認する意味について説明します。
通常の基準価額と分配金考慮後の基準価額の違い
これまで投資信託の分配金はあくまで運用益から出ていることを述べてきました。
いくら高い分配金を払おうが、結局運用が上手くいっていなければその分配金利回りを維持していくことはできませんし、分配金を無理して支払い続ければ顕著に基準価額が下がっていきます。
その点で、利回りを重視する投資家が投資信託の評価をする第一歩が基準価額の推移を確認することでした。
そこからもう一歩進むと、トータルリターンの大切さを意識されるかと思います。
具体的には、分配金を考慮した(差し引かずに再投資した場合等、表記の種類は多くある)基準価額がどのように推移しているのかを意識するようになるわけです。
フィデリティUSリートファンドのレポートより
純資産総額ランキングでも上位(2014・9末 約7700億円)のフィデリティUSリートファンドのレポートより設定来の運用実績欄を載せましたが、一番目立つオレンジの太いラインがトータルパフォーマンスを表している部分です。
その下にある細いオレンジのラインが基準価額の推移を表しているのですが、全然動きが違いますね。
このファンドの場合は、下の補足で、実績評価額を計算している旨を書いていますが、どの投資信託でも表記こそ違う場合はあれども同じように、分配金を再投資した場合などでトータルパフォーマンスを明確にしています。
上に挙げたリンク記事で、分配金とは運用損益を考慮した投資信託の純資産総額から支払われていることを説明しています。
それを考えると、投資信託のパフォーマンスを見る際は分配した金額も含めて考えることが正解と言えます。
その点で、通常の基準価額と、分配金を考慮した基準価額の違いが大きくあるわけです。
分配金が銀行に預けている預金利子ではなく、あくまでファンドの純資産総額から出ていることを正しく理解できれば、二つの指標を載せている意味も理解できますし、どちらが投資家のパフォーマンスを表しているのかを理解できるはずです。
そこをもう少し考えてみましょう。
本当にチェックするべき投資信託のパフォーマンス
本当にチェックしなければならないのは、分配金を考慮した基準価額の推移の方です。
保有している毎月分配型で分配金の水準に満足している場合で長期保有を前提をしているなら、元本部分を表す基準価額の推移だけを見ても完全に間違いだとは言いませんが、本当のパフォーマンスを表しているのは、分配金も含めて計算されたものであるとの認識はしっかり持ってもらえればと思います。
分配金はファンドごとのルールに従って出されています。
現実的には、毎月の分配タイプなら毎月同じ金額を支払っていますので、ひと月間で利益だろうが損失だろうが支払い額を変えることはほとんどありません。
損失が続いた場合に引き下げ措置を取ることはありますが、頻繁に分配金を変えるファンドは少なく、それをしてしまうと不信感につながってしまうのが現状でしょう。
分配金が一定額支払われるとしても、色々なファンドを横に並べて買い付けを検討する際、全ての分配金の推移まで見ていくことは大変ですし、分配金の変更があったりすると余計混乱してしまいます。
いくつかに絞ってから細かく見ていくのは当然必要なことですが、同じカテゴリーでも多くのファンドが存在しますので、それを比べていく時は、トータルパフォーマンスを表す「分配金を考慮した基準価額の推移」を見ていきましょう。
現状のトレンドに乗っていくなら右肩上がりのものの中で、その角度に気を付けて比べていきます。
現状は下がっているけど今後の伸びに期待して仕込みを入れるなら、下がり切ったところから横ばいを経て上がりかけているものを比べていきましょう。
いずれも上昇時の角度は重要です。
上がる時にしっかり上がっているファンドかどうかはよく見ましょう。
それを確認するためにはトータルのパフォーマンスを見ていくことが重要です。
特に株式型の場合は、決算ごとに分配する金額の変動幅が大きいという特徴があります。
基準価額の推移だけではそのファンドの評価をしていくのは難しくなります。
トータルパフォーマンスを見る方法を今回の記事では説明できたかと思うので、正当な評価ができるように正しい見方をしていきましょう。
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