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投資信託の純資産に増加・減少の推移が起こる理由

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良い投資信託を探す上で投資信託の純資産を確認することは大事な作業です。

 

 ファンドの純資産を見る時に気を付けなければならないことは多くあるのですが、今回はその中でも増加と減少の推移が起こる理由にフォーカスして説明していきます。

 

 

純資産とは

投資信託の純資産とは、ファンドに集まった資金から買い付けた運用のために保有している有価証券の合計と現金やその他の資産から負債を引いたものです。

 

ここでは敢えて純資産と簡単に表現していますが、他に純資産残高と言ったり純資産総額と言ったりします。

いずれも同じ意味で、ファンド全体の資産価値を数字化したものと言えます。

 

これを口数で割ると基準価額が算出されますので、純資産が減ったとしても必ず基準価額が下がるわけではなく、純資産が下がった理由が大事になってきますので、純資産の増加・減少の推移だけでファンドを評価しようとするのは間違った考え方です。

 

 

資金の流入と流出

ファンドの純資産に与える影響の大きな部分の一つは、資金の流入と流出の差です。

普通、投資信託は新しく設定されてから一定期間、資金流入が続くことが多く、保有をしてから長い期間経っている投資家もいないので純資産が増えていく傾向があります。

 

投資信託が設定される背景には、投資対象の値上がりが続いて、直近の人気になってきているジャンルで設定されることが挙げられ、良好なパフォーマンスが一定期間継続すると思われる時に新発設定されることが多いです。

 

よって、基準価額も比較的良好に進むことと、販売会社が力をいれることから、純資産は右肩の上昇を続ける傾向があります。

新発の投資信託で気を付けないといけないパターンもありますが、それはまた記事を改めます。

 

新発投信は話題になっている投資対象に投資することが多いので、営業マンのセールストークも組み立て易いという側面もありますし、投資家の反応は良い場合が多くなります。

 

純資産が積み上がっていく過程においては、全体的に見てですが、運用が上手くいっているというのが特徴になります。

 

 

新発設定から時間が経ち、ファンドの基準価格の上昇も一服すると資金流入が一度止まり、そこからは運用の成果によって上下することが多くなります。

 

まだ若いファンドの純資産の伸びは、基準価額の若干の下げ程度なら吸収して伸びていくことがあることを知っておきましょう。

 

また、純資産が減る原因の一つに資金流出が挙げられます。

どんなに人気のファンドでも時間が経てば、解約者が必ず出ます。

 

利益を確定するためや資金が必要になったりすることもありますので、解約の資金が増えてもそれだけで慌てることはありません。

積み上がった資金の量によって解約が出るのは当たり前である部分もあります。

 

解約より買い付けが多ければ、まだそのファンドは人気を保っていると言え、新規買い付けと比較せずに解約額をみることは間違った判断に繋がってしまいます。

 

解約額に対してはその推移に気を付けて一気に増えるようなことがあればその原因を調べることが重要です。

 

 

運用成果

資金の流出入の他にファンドの純資産に影響するのが、運用成果です。

ファンドの成長期を越えて、買い付けの勢いが止まってからはこちらの方が影響が大きくなりますし、運用成果を見極めてから買い付けを行いたい投資家の資金が入ってくるかは運用成果次第だと言え、新発から時間が経てば、純資産への影響は総合的に大きくなるのが運用成果です。

 

このことからも投資信託の純資産ランキングを見ることは意味のあることだと言えます。

 

新発の頃を過ぎた投資信託は買い付けのスピードが落ち着くので、基準価額の推移と、純資産の推移は一致することが多くなります。

 

買い付けの勢いがある頃は多少の下げがあってもそれを補って資金の流入があって、純資産が右肩を継続することがありますが、いずれは運用成果次第で上下するようになっていきます。

 

ここでは例外をよく理解しておきましょう。

 

時々、基準価額の伸びに対して純資産の伸びが強いパターンが存在します。

これは、運用成果が上がってきて、注目する投資家が増えたために起こる現象です。

 

やはり、運用成果の良いものは誰でも買い付けを検討しますし、運用成果が実際に出ている投信ほど魅力があり、注目されるようになります。

 

この状態は、保有を続けるべき時であることが多いです。

 

逆に、基準価額の下げよりも純資産の減少が大きい場合は注意が必要です。

運用成果が悪いことで、資金を一度引き上げたり、他のファンドへ乗り換えている投資家が多いことを表しているため、自分の方針をしっかり確認する必要性が出てきます。

 

売らなければならないとまでは言えませんが、多くの投資家の行動が一方方向へ傾いた時は何かしらの変化が相場に起きていることが多いので、その原因となっているニュースは調べた方が良いです。

 

長期投資を考えているのなら慌てずに保有を続ける選択もありですが、自分の見通しが完全に崩れるようなニュースであったりしたら、乗り換えを考えた方が投資効率が良くなることはあり得ます。

 

せっかく投資信託の純資産をチェックするのなら、こういったポイントを見てみましょう。

 

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