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外国株式の国内店頭取引と海外委託取引の違いとメリット・デメリット

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証券会社から外国株の取引きを提案されたことはありませんか?

海外との連動性が高い日本株ですが、時に置いてけぼりを食らう時期があったりして、一時期は外国株の提案ばかりやっていたことがあります。

 

手数料が高かったことが一番大きいのですが、実際に儲けないとお客さんはついてこないため、勧めていた時期は日本株より外国株の方が調子が良かったからこそ勧めていたわけです。

 

今回は外国株をやる時に、問題になる国内店頭取引と海外委託取引の違いやメリットとデメリットをまとめてみたいと思います。

 

外国株の国内店頭取引とは

外国株の国内店頭取引とは、取引相手が証券会社となる取引形態で、市場でやりとりせず、店頭でやりとりを行う取引です。

普通、株の取引きをする時は、マーケットへ顧客の注文を取り次ぎ、マーケットにて取引相手を見つけます。

証券会社は、あくまでその注文を市場に流すだけで、取引が成立したならば、それはマーケットで相手が見つかったことを意味します。

 

しかし一方で店頭取引の場合、証券会社が独自に定めたルールに従って、取引の値段を決め、顧客の注文に対し、自らが相手方となって取引を成立させます。

顧客が売り注文を店頭取引で出せば、証券会社が定めた買い取りの値段で取引を成立させ、顧客が買い注文を出せば、同じく証券会社で定めた販売の値段で取引を成立させます。

 

そうなると、値段の決め方が問題になりますが、私の勤めていたいた証券会社は、例えばアメリカ株でしたら、アメリカのアフターマーケット(通常の市場が終わった後にやっている時間外取引)の終値に対し2%を上乗せた価格を販売価格とし、2%差し引いた価格を買い取り価格としていました。

 

合理的な方法で社内ルール定めて徹底するように日本証券業協会指導しており、証券会社が価格を定めると言っても、自由に価格を設定するものではありませんし、不公平が生じるようなこともないように、ルールを定めて顧客との売買に当たっています。

 

メリットとデメリットは、次に挙げる海外委託注文の説明後に対比の形で説明します。

 

外国株の海外委託注文とは

外国株の海外委託注文とは、日本で株を取引きするのと同じように、マーケットへ顧客の注文を取り次ぎ、マーケットにて需給が合えば、注文が約定する取引形態です。

 

普通の株と同じように考えることができるのでシンプルで分かり易いのが特徴でしょうか。

指し値や成り行きも選ぶことができます。

 

海外の市場での取引であるため、約定日の日付がズレたり、海外での取次手数料が発生したりして、多少複雑な印象を持つと思いますが、基本構造は大きく違うわけではないので、株をやっている方でしたら、理解することはそう難しくないと思います。

 

メリットとデメリットの対比

外国株の国内店頭取引と海外委託引きのメリットとデメリットを対比において考えてみます。

 

手数料

手数料で有利な方は、基本的に海外委託取引の方です。

外国株なので海外委託手数料がかかりますが、それでも店頭取引に比べて安く済みます。

手数料が安く済むことは海外委託取引のメリットでしょう。

 

私が勤めていた証券会社での海外委託取引は全ての手数料を込みで約1.3%でした。

先程触れている通り、店頭取引きの手数料は2%でしたので、委託取引の方が有利です。

 

ちなみにそのことは、顧客から店頭取引きで売買注文を受ける時は、説明することになっていました。

「委託注文なら手数料が1.3%くらいですが、店頭取引きなら2%かかりますが、よろしいでしょうか?」

という感じです。

これを録音の電話で確認して上司にもチェックしてもらうのが社内ルールで定められていたのです。

 

では、なぜ2%払っても店頭取引きをするのでしょうか。

 

約定

外国株の取引きをする場合、最大の特徴は海外の株式を扱う点ですね。

そうなると、例えばアメリカ株を委託取引で行う場合、日本の証券会社がやっていない時に取引を行うことになるので、不便なことが出てきます。

担当者の付く対面営業の証券会社でしたら、注文の変更や取り消しが夜中(アメリカの場中)にできませんし、ネット証券でしたらパソコン環境でないと注文の変更取り消しができないところが多いです。

 

従って、対面営業の証券会社を利用している人は、委託注文を出すと、約定するかどうかが透明になってしまい、いくらで売り買いできるのかが正確には分からないため、確実に売買でき、単価も決まっている外国株店頭取引きを利用することが多かったのです。

 

場が始まる前に注文を出そうとすると、いくらで寄りつくかは勘になってしまうので、特に銘柄入れ替えで売りと買いを同時に行う場合は、委託注文との相性が悪かったわけです。

売れたけど買えないとか、その逆があったりすることが懸念されました。

 

しかも、0.7%の差が、結局場が開いてみれば有利か不利かはその時々で違う場合もありますから、余計に確実安心の店頭取引きを選ぶのです。(多くの場合で、委託の方が有利ですけどね)

 

即ち、約定面で考えると、確実に売買でき、店頭取引きで納得できる単価の提示があれば、その価格で即刻取引完了になることが外国株店頭取引きのメリットであり、手数料が安く済むことが海外委託取引のメリットです。

 

ネット証券を利用するなら、場を見て売買タイミングの掴める委託注文が手数料を見ても有利でしょうし、対面営業の証券会社なら、指し値をする場合は売りと買いの日を分けて、売りが成立したら翌日に買い注文を出すような取り引きや、売りを成り行きで出して、買いは少し少な目の株数で注文するような工夫が必要になります。

それでも、状況によっては買い注文だけが成立することも考えておかないといけないかもしれません。(成り行きで約定しないことはほぼありえませんが・・・)

 

材料を考慮する時

私の元会社で店頭取引きを使っていた手法を少し説明します。

 

アメリカ株でも場が引けてから決算をすることがよくあります。

内容に寄っては、アフターマーケットで10%高なんて日もあったりします。

 

その場合、店頭取引きなら単純に言えば8%高(2%手数料で引いた店頭取引き価格)の値段で売却が可能です。

 しかし、委託注文で場に注文を出すと、値段がどの程度まで上がるかは、アフターマーケットの値段は参考程度にしかなりません。

確実に翌日の株価が10%高するとは限らないのです。

もちろん、15%上がることもあるでしょう。

でも確実に利益を取っておきたいと考えた場合は、好材料が一時的な効果で終わることも考えると、アフターマーケットを考慮する店頭取引きで8%を取っておく方が確実安心と言えます。

アフターで10%上がったからそこで指値をしたけど、ギリギリ届かず、その後に急落して結局値段は元に戻った、なんて話はザラにあることです。

一瞬過熱感が出たけど、場の雰囲気とかで修正が入ることは日本株でも結構あることですよね。

そういったことを懸念する時は、店頭取引きで、差し引き0.7%の上乗せ手数料を支払っても確実に利食いすることを勧めたりします。

 

考え方は様々ですし、未来のことを語ることになるので正解はありませんが、どのような取引を望むか、又はどのような状況かによって有利と不利は変わってこようかと思います。

 

ただ、担当者に勧められる場合は、手数料や約定管理の点からも、店頭取引きが増えるかもしれませんね。

材料を考慮して、店頭取引きに引き込んで、その後はずっと店頭取引きで売り買い4%の手数料を貰いながら取引してもらうことは多いかもしれません。

 

会社としても手法として推奨していたので、そこら辺はまた別の記事にします。

 

まとめ

今回は、外国株の国内店頭取り引きと海外委託注文の違いについて説明しました。

それぞれのメリットとデメリットがイメージできたでしょうか。

 

証券マンとして、店頭取引きを考えると、その凶悪な手数料率が恐ろしいほどの効率を生むので、特にリーマンショックからアメリカ株が上昇に転じた時には、欠かせない手数料稼ぎのツールでした。

 

これが無ければ、どうなっていたかという程です。

 

でも逆に言えば、外国株を店頭取引きで行うと言うことは、それだけ手数料を取られることになるのです。

担当者がつく形で取引を行うなら、気をつける必要があります。

 

 

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