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ハイイールド債の市場規模を確認しよう|野村のハイイールドファンドの設定や追随ファンド設定の影響についての私見

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野村アセットマネジメントがハイ・イールド・ボンド・オープンを2015年4月1日に新規設定する都合で、いくつかブロガーさんが記事を書いていますね。

しかし、その中には、野村の新規設定するハイイールドファンドの影響、プラス追随するファンド設定の影響でハイイールド債が買われ、値上がりしてしまうのではないかとの見通しが語られていたので、何だかモヤッとしました。

 

ハイイールド債の市場規模をちゃんと調べたのかなと疑問になり、勘違いされる方が出てくると不幸だなと思ったので、今回はハイイールド債の市場規模とファンドが新規設定されることの影響について私見を述べてしてみようと思います。

あくまで私個人の考えを紹介するので、参考までに留めて下さい。

 

 影響を考える際の重要事項

新規にファンド設定がされて、その影響で投資先の値上がりがあるか、ないかを判断するのは、影響度を考える必要があります。

つまり、今回の場合ではハイイールド債の市場規模を知らないといけないわけです。

 

例えば、ある投資家が1億円ある株を買うとしましょう。

大きな資金が入りますから値上がりを予想するかもしれませんが、無条件でその株を買いますか?

買わないですよね?どのくらいの時価総額の株かを調べるはずです。

トヨタに1億入れたところでその影響なんてしれています。

逆に聞いたこともない新興株でしたら、売買高も少ないでしょうし、爆謄するかもしれませんから、買いを検討しますよね。

 

このように、株であろうが、ハイイールド債であろうが、しっかり影響度を計ってから材料を検討しないといけません。

新規に大手証券がファンド設定するからと言って、その影響があって値上がりするかどうかは、無条件ではなく、しっかり分析する必要があるので、注意をするべきだと思います。

 

それでは、影響度を的確に把握するためにハイイールド債の市場規模を見ましょう。

 

ハイイールド債の市場規模は

 

欧州(ユーロ+英国)社債市場の規模は投資適格債市場が約365兆円、欧州ハイイールド市場が約63兆円です。したがって、欧州社債市場の規模は約428兆円です。参考までに、日本の普通社債市場(除く金融債)の規模が約60兆円程度であるのに比べると7倍程度の大きさとなっています。一方で米国社債市場は投資適格社債とハイイールドを合計すると約773兆円となることから、欧州社債市場の規は米国の6割程度と見られます。

 http://www.pictet.co.jp/wp-content/uploads/2015/02/EuropeanCreditLetter_20150210_vol2.pdf

 

こちらは、ピクテ投信投資顧問株式会社が作成した記事を引用しています。

リンクから飛んで頂くとわかりますが、ハイイールド債の市場規模は主要市場だけで220兆円ほどあります。(2015年2月5日現在 データはブルームバーグよりピクテ投資顧問が作成データによる)。

アメリカに限って言っても約157兆円(同上)あるわけですから、ばかデカイ規模の市場でやりとりされていることがイメージできるかと思います。

上の引用から見ても、日本の普通社債市場は63兆円ほどですから、アメリカだけでざっと2倍以上の市場規模を誇る商品群だと分かりますね。

 

債券の市場は、全世界的に見ると、本当に大きな市場です。

確かに、小さな市場の株式ですと、日本の投資家が挙って買うことでインパクトは出てきますが、債券市場で影響を与えようと思うと、年金クラスのお金が動く必要がありますから、日本の大手証券がいくつかハイイールド債ファンドを設定したとしても、影響はほとんどないと思います。

(個人的見解です)

 

1兆円ファンドは日本に僅か5本

集めるであろう投資資金の最大値を予想してみます。

それを考えるには、日本にある投資信託の純資産残高を見れば、最大値は大凡の所で把握できるでしょう。

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 上の記事にあったデータを再度掲載しています。

これを見て頂くと、日本のトップ5の投資信託だけが1兆円を越えていますね(2015年2月現在)。

最大のファンドである新興USーREITオープンでも1。5兆円ほどです。

 

と、言うことは、この程度の投資資金を集めることができたとしても(現実的にはかなり下回ると思いますが)、与えるインパクトはかなり軽微なものになるはずです。

先程、確認したハイイールド債の市場規模は主要市場だけで約220兆円ほどありますから、いきなり1兆円ファンドができないこと、新規設定を他社もやるならある程度時間差ができることを考えれば、やはり「影響は軽微」と個人的には考えます。

 

皆さんはいかがですか?

 

まとめ

今回は、ハイイールド債の市場規模を確認しながら、野村の新規ハイイールド債ファンドの設定が及ぼす影響を考えてみました。

個人的にハイイールド債ファンドは優秀なカテゴリーだと現在の相場では考えるので、敢えてこんな記事を書きましたが、それぞれでよく考えて頂けると良いかなと思います。

 

こちらの記事も一緒に参考にしてみて下さい。

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