男性の証券マンなのに枕営業に誘われた話~担当者でもやっぱり男女は男女ですか?
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証券マンの世界に枕営業している人は、一人しか会ったことがありません。
普通は隠すからバレないものなんですかね。
一人だけ開けっ広げに話す人とあったのですが、その人は女性の証券マンでした。
枕営業のイメージは、女性の方が個人的にあり得るのかなと思っているのですが、それは私が男性だからでしょうか。
個人的なイメージもあって、私がまさか枕営業に関わる事件に巻き込まれるとは思っていなかったのですが、運命とは不思議なもので色々なことがあるものです。
今回は、男性の証券マンなのに、枕営業に誘われた話をしたいと思います。
安請け合い
入社3年目の春のことでした。
私は当時、若手のリーダー的な役割を与えられていて、支店内でも勉強会などを主催させられていました。
成績は良かったので後輩たちは少なくても表面上では尊敬してくれており、私も「若手をまとめていこう」なんて自覚しながら、若手飲み会も主催していたんです。
そんな中、支店長と飲んでいる時に個人向け国債のプロモーター(支店内の促進役)をしないかと持ちかけられます。
国債は定期的に募集する商品なのですが、収益が上がらない商品なので、新規資金中心に若手でやり切ってほしいということでした。
プロモーターは普通、課長クラスの仕事です。
普段ならそんな無茶ブリは全力で断る私も、その時は大きな案件が決まる予定だったことと、若手のリーダーとして調子に乗っていたのをお酒が後押しして、断りきることができなかったんです。
そう、自分で蒔いた種がこの話の発端だったのです。
プロモーターの仕事は募集の仕事に責任を持つこと
個人向け国債のプロモーターになった私は、毎朝の全体朝会で他の分野のプロモーターと一緒に発言することになります。
例えば、
「募集10億に対して、予約で取れている数字が2億です。
このままでは他の支店の足を引っ張ってしまうので、15時から全体で数字を詰めていくことにします。
特にできていないいない人は必ず今日中にノルマの30%まで数字を出してから帰ってください!!」
と言った感じの話をするのです。
これ入社3年目の仕事じゃないでしょ?
コメントは副支店長から降りてくる言葉を自分の言葉に置き換えて話すので、完全オリジナルではないですし、他の人もそれは薄々わかっているのですが、自分がにできていないと後輩に言われたらイラっとします。
でも問題はそんなことではありません。
私がもしできていなければ、「何いっちゃってんの?」って話なんですよ。
「おいおいお前がやってから言えよ。バカ」って内心思われながらプロモーターをやるの地獄なんです。
そうはなれないとも言えるんですね。
予定は未定!!
私が安請け合いしたのは、大きな案件があるからでした。
ほぼ決まっていた話だったので、ノルマの達成から上積みをどのくらいプロモーターとして行うかがテーマだと思っていました。
しかし、予定は未定。
「あの話なかったことにして」
見込んでいた顧客から頂く冷たい言葉の裏には、他社の動きがあり、キャンペーンで付く商品券の差で同じ商品を他社で買われてしまいました。
証券会社ではよくあることです。
お金持ちだったので食い下がりましたが、「じゃぁ、ちょっと商品券増やしてよ」との要望に応えることができずに撃沈です。
その話でノルマは一気に終わるはずでしたし、プロモーターの話がくることも予想できなかった私は、文字通り窮地に陥りました。
どうしよう。
とにかくやるしかないので、事前の準備をできていないとか言い訳せずにせず、がむしゃらに頑張ることでノルマ達成を目指すことになります。
やっぱりキツイ
私の営業スタイルは、事前にストーリーを作っていくやり方だったので、いきなりのガチンコ勝負があまり好きではありませんでした。
例えば、前もって個人向け国債の話をしておき、募集だからやっている感を無くす方法を取っていたのです。
しかし、今回はそれができていません。
しかもプロモーターです。
みんなを引っ張らないといけない。
覚悟を決めて、懇意にしてくれていた顧客を丁寧に回りました。
努力の甲斐あって何とか数字が積み上がっていきました。
まぁやればできるもんだなと思いましたが、ラスト100万円でストップします。
当たれるところは当たり尽くしたので、本当のダメ元提案をしていくことになります。
興味が無さそうな人も手当り次第に当たって、ラッキーパンチを当てるしかありません。
よもやとんでもないところに当たることも知らないで…。
焼肉でも食べながら聞いてあげる
ある女性に提案すると、「まだ20代でしょ?焼肉おごってあげるから食べながら聞いてあげるよ」とのお返事がありました。
その女性とはセミナーにも呼んだことのある人なので面識はあります。
40代の主婦の人で、普段は株をやっている人でした。
しかし、少々問題がありました。
接客していると、どうしても男女の空気を漂わすのです。
上手く言葉にするのが難しいのですが、何か変なんですね。
気を付けないといけない人だなと思っていた人でした。
それでも背に腹はかえられません。
私は100万くらいの話だと先に確認して、大丈夫だと言うので焼肉に出かけることにしました。
当然ながら、顧客からの利益提供を受けてはいけないので、奢りは断り、接待費を使うと嘘をついて驕ることにします。
100万円くらいで接待費なんて請求できないので、領収書だけ切って貰ってそれらしく振舞うことを決めます。
焼肉店にて
支店の近くのお店にしました。
安くない店ですが、決して高くないところ。
気合入れてきました!って空気を排除するためにお店は雑多な感じのするところにしたかったんです。
その空気が良かったのか、食事中は普通の接待という感じで進みます。
投資の話と普段の話を行ったり来たり。
以外と問題ないなと感じていました。
残っていた100万も無事決まって肩の荷は下せ他時は本当に安心したものです。
電車で起ったこと
帰りの電車が同じことをその女性は知っていたので、変に別々で帰るのも面倒だと思った私は同じ電車に乗り込みます。
少し混んでいた時間だったので、自然と二人の距離は近づきました。
まぁ、ここまではありがちなシチュエーションです。
私は全く気にしませんでした。
2駅目くらいだったと思うのですが、そこから空気が変わりました。
真っ直ぐに流れる景色をみていた私の手に何かが触れます。
いや、正確には握られました。
元々、ちょっと男として見ているなという思いを持っていた私は、すぐにその女性が手を握ってきたのだと直感します。
しかし、しかしです。
手ぐらいはまぁいいじゃないですか。
確かに嫌なんですけど、こちらは男であちらは女ですから、恥を掻かせてはいけないとも言いますし、苦笑いになってしまいましたが、表情は明るくして普通にしていることにします。
次の駅に着いた頃だったと思いますが、今度は体を預けられます。
「私、酔っちゃったみたい」
お決まりの言葉です。
ハタから見たらどう見えていたんでしょうか。
20代の男性が40代の女性に抱きつかれている電車の中。
かなりシュールな状況、まではいかないですかね。
ここでも我慢しましたよ。
酔っちゃったんだから仕方ないと自分に言い聞かせて、もう少しでやってくる最寄駅まで苦行に耐えることを決断しました。
最寄駅こっちでしたっけ?
家が遠くないことは知っていましたが、最寄駅は確かもう一つ先のはず。
そう思いながら、一緒に降りるその女性を、私は華麗にエスコートします。
巻きついているのは自分のペット。
電車を降りる頃にはそう自分に思い込ませていました。
この後の展開はあまり多くのパターンが残っていないので、頭の中では如何に逃げ切るかを考えます。
「相手は旦那もいるんだし、ここまでだろう」
しかし、その予測は甘い物でした。
「今日はこのまま一緒にいたい」
え?
そっちの展開ですか。
昭和のドラマでももう少し演出がありそうな展開に、酔いは完全に醒めます。
言葉にはしませんが、そこで巻き付いていた可愛いペットを、もう一度女性だったと思い出し、せめて体だけは営業マンとお客さんに戻します。
「旦那さんが家で待ってますから、今日は帰りましょう」
次の会なんてありませんが、取り敢えず旦那さんに助けを求めます。
どうか私を救って下さい。
久しぶりにお祈りをしたのを覚えています。
しかし、返ってきた言葉は私の今まで全ての努力が無になるものでした。
「じゃぁ、さっきの奴買わないよ」
一番言って欲しくなかった言葉がついにその口から放たれました。
何となく、着地はここかなとは思っていたので驚かなかったのですが、それでも落胆はします。
全ての我慢は無断になるのですから。
「買ってあげるんだから今日は付き合いなさいよ」
もう私は、取引先の担当者から完全にホスト扱いです。
しかもちょっと怒ってます。
完全に終わったなと、確信した私は、取れた数字を捨てる覚悟を決めました。
「そういうことしてまで買ってもらおうなんて思わないですから。今日の話は無かったことにしてくれていいですよ」
「それじゃ」
私も怒っちゃいました。
「軽く見られた女の人はこんな気持ちになるのかな」なんて思ったりもしましたが、頑張った結果がコレだったのが悔しくて、その時の私は怒っていましたね。
正直、たった100万。
しかもほぼ100%元本が返ってくる国債。
検討するとしたら1億は必要です。
それでも絶対ダメなんですがね。
こんなことをしちゃ。
結末
結局、最終的に話しは流れ、さらにクレームに発展し、担当替えに至りました。
まぁ、キレて帰った段階でこの結末は浮かんでいましたから、可愛がっていた後輩に客を譲りました。
上司からはある程度の信頼を貰っていたので、お客さんの話より自分の話を信じてくれ、大きな問題にはならなかったのが唯一の救いです。
こんなことがあるんですね。
恐いですよ、色恋沙汰は。
まとめ
以上、男性の証券マンなのに、枕営業に誘われた話でした。
思い出すとやっぱり嫌な記憶です。
上手く扱う力が無かったのが悔しいですし、やりようはいくらでもあったはずなので、一人の男としても、一人の証券マンとしても未熟過ぎました。
良い経験としてその後に活きましたが、脇が甘いと言うか、まだまだ少年でした。
証券マンはこんなこともありますよとは言えない体験ですが、少し面白い読み物になったのなら嬉しいです。
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