2015年は円高を迎えるのか|中国の情勢から考えてみる
スポンサードリンク
2015年がスタートした現時点でドル/円相場は120円付近でやりとりされています。
これまでの動きと比べて「急速」に円安へ傾いた2014年でしたが、この傾向は2015年も続いていくのでしょうか。
今回は中国の情勢から2015年は円高を迎えるのか、考えてみたいと思います。
バブル崩壊は不動産価格から
しばらく前になりますが、7月の末に中国政府のシンクタンクである社会科学院の年研究センターが「中国住宅発展中期展望2014年」という報告書を発表しました。
見通しをまとめると以下の通りです
- 今後2~3年は調整局面入りするだろう
- 回復期に至るまで少なくとも6年程度を要するだろう
この発表を迎えた時点で、中国が分類している70都市中55都市が前月期で新築住宅価格が下落しており、この数字は前例のない数字でした。
2014年の4~6月の推移を見ても、明らかな下落傾向が見え、ネガティブな見通しは仕方なしとも取れる内容です。
さらに11月に発表された主要70都市の新築不動産価格は、何と69都市が下落しており、「中国住宅発展中期展望2014年」で示された見通しを強く根拠付けています。
6年もの時間を要する見通しを発表した背景には、即効性の期待できる政策が取れないことがあり、短期とはとても言えない長期間ネガティブに見ていることを鑑みると、2015年の円相場を考える際に、念頭に置くべきことの一つと言えそうです。
これまでの世界の歴史を振り返ると、バブルの崩壊は不動産価格の下落がきっかけになってきました。
記憶に新しいリーマンショック然り、日本のバブルも不動産に関する法律がきっかけとなったとの見方がありますね。
大きな資金が動く不動産のマーケットは、それが経済に大きく影響するのが当然なのですが、中国の住宅価格におけるネガティブな見通しは、投資家として大いに関心を寄せておくべき事項かなと考えています。
バブルの崩壊と不動産の関係は密接であると言えますし、現在の中国は不動産バブルが弾けかかっている状態なら、中国政府のシンクタンクは6年程の調整期間を見込んでいることは大きな懸念材料です。
レアアースの現状
2010年に中国はレアアースの輸出制限を行い、レアアースの価格は急騰しました。
当時の世界シェアは約97%ほどでしたから大きなインパクトを与えたわけです。
当然ながらレアアースは中国に取ってドル箱となっていました。
しかし、中国リスクを痛感した日本企業は、レアアースを使わない製品開発に力を入れ、リサイクルにも取り組んだり結果、2011年のは対日のレアアース輸出量は前年比で約3割強減り、それ以来代替の調達先を見つけたりして中国依存を脱しました。
日本の動きで中国の輸出制限前の需要は約3.2万トンありましたが2013年には60%の需要がなくなり、約1.3万トンまで減っています。
現在の中国におけるレアアース事情は大きく変わっており、大幅な価格の下落と日本に代表されているように技術の進歩がレアアースの消費量を減らしていることが対外的な影響として大きく、国内においても無計画な生産がマイナスに影響して、もはやドル箱ではなくなっています。
中国の強みが時間をかけて削がれたと考えるべきです。
政治が動き出し不透明感が強まっている
中国の政治は実質的に共産党の一党独裁体制が続いています。
その安定性には構造上の問題が絡むため、すぐにどうにかなるような動きが出るとは思いにくいですが、共産党内にも派閥があり、水面下で激しい争いが行われています。
直近、習近平国家主席は、自国の粛清に動いています。
これには2つの側面があると考えています。
一つは、弱い者が強い者に抱く不満の解消です。
中国国内の景気が悪くなってくると、どうしても不平不満の行き先が必要になります。
その矛先となるのが中央政府であり、景気減退の責任を政府に求める動きが起ります。
これは日本でも同じことで、景気が悪い時は政府の支持率は下がり易く、逆は上がり易いですね。
中国の場合は、もっとそれが顕著であり、一党独裁だからこそ汚職があったり、私腹を肥やすために悪いことばかりやっているからこんなに景気が悪くなったのだという不満は抱き易い環境があります。
中国に選挙はないのですが、国民の指示があった方が、政治はやり易いのは明白なため、一種の大衆迎合的な動きが出ています。
二つ目はクーデターを避けるために、静粛を行っている面があると考えています。
中国国内が不安定になると、共産党内で力を持った派閥が軍部と結託してクーデターを起こし、習近平を引きずり落とすこと等は可能性として起こり得ることです。
力を持った派閥としては周近平派以外に江沢民派や胡錦濤派等があります。
噂の段階ではこの胡錦濤派は軍部とのつながりがあるとの見方があり、周近平は警戒を強めていると言われています。
周近平政権はまず、先に江沢民派を潰して、現在は胡錦濤派を潰す段階に入ってきています。
恐らく粛清はまだ続くのではないでしょうか。
中国の軍部は非常に国内で力を持っています。
土地や会社やお金等を持っていますので、胡錦濤派がもし軍部と繋がっているとしたら、周近平としては大きな脅威となります。
今後、どうしても権力を維持するために胡錦濤派との攻防が避けられないはずです。
そうなれば、水面下で行われていた戦いが表に出てきて、実質的なクーデターが起こる可能性は高まっていると言えます。
中国国内の軍部は地域ごとに力が分散されている面があり、どことどこが繋がるか等、いずれにしても中国の内輪モメはこれから激化する可能性が高まっている状況でしょう。
経済面と政治面の問題から中国経済が減退すると
もし、上記までに述べてきたように、経済面と政治面の両面から中国経済が減退するならば、日本への影響は避けられません。
世界経済に与える悪影響から、株価の調整局面を迎える可能性は高いですし、中国と日本の経済的な結びつきを考えても、日本株相場に悪影響があるでしょう。
問題になっているロシアへの悪影響もありますし、新興国全体にも悪影響は広がることが懸念されます。
リスク回避の動きが起れば、直近の傾向から円高になることが想定されます。
今回挙げた中国リスクは、構造的な問題であるため、どれも極僅かな一時期の影響に留まらず、顕在化するならば少し長めの影響が出るでしょう。
相場が長く調整局面に入るかは別の話ですが、注視する必要があるだろうと考えています。
上昇相場が長くなると、どこかに悪材料を探すところが相場にはあるため、一つのリスクシナリオとして中国の状況には注意をしたいと思っています。
もし2015年に円高を迎えるとしたら、中国の動きがきっかけになる可能性があります。
関連記事: