初心者個人投資家に毎月分配型投資信託はなぜ人気になったの?
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投資信託の歴史を知って、毎月分配型投資信託がなぜここまで初心者投資家に人気になったのかを今回は説明したいと思います。
貯金から利子が生まれなくなった
日本人の初心者投資家に大人気の商品が毎月分配型の投資信託です。
勤勉で真面目な日本人は、貯蓄と利子の関係が非常に肌に合って、長らく愛してきました。
これは今でも神話に近い形で受け継がれていっており、いくら政府が「貯蓄から投資へ」と舵を切ってもほとんどビクともしていません。
しかしながら、そんな日本の投資家達も低迷する金利情勢の中で、重い腰を上げ始める人が出てきました。
上の画像は総務省の統計資料を基に杉並区が作成したもので、定期預金は預入期間1年以上2年未満の場合)1993年は3年未満)です。
日本人なら誰でも知っていることなので、今更ではありますが、銀行金利の落ち方は想像を超えたかもしれませんね。
こういう状況のなかで当初の発想は、「どうにか利回りの良い運用方法はないものだろうか」というものでした。
そうです。
お金を貯めた比較的年齢層の高い人達が動き始めたのです。
そのきっかけは、毎月分配型投資信託「グローバルソブリン」の登場です。
このグローバルソブリンオープンは設定が1997年12月18日。
先進国のソブリン債(各国政府が元本の支払いを約束している債券、又はそれに準じずるもの)に投資を行うファンドです。
「貯金を運用して毎月分配を受け取って老後を豊かに送ろう」と各社が販売を加速。
銀行の投資信託窓販解禁が行われると、こぞってこのグロソブを販売し始めて瞬く間に世界有数の純資産総額を誇る投資信託へと変貌を遂げました。
その額は最高で2008年8月の5兆7685億円と圧倒的でした。
円安で加速する毎月分配型投信販売量
グロソブが売れた理由は、毎月分配金がもらえることで、保有者の運用に対するアレルギーを少なくすることに成功し、尚且つ目に見える形で運用成果を実感できることから、ものすごく高い満足感があり、リピーターが異常な勢いで増えたことが背景にあります。
私の販売エピソードにこんな顧客とのやりとりがあります。
Aさん「グロソブの最近の状況は?」
私 「相変わらず安定していますから、元本はほとんど動いてないですね」
Aさん「それなら、後いくら買えば毎月10万円もらえるかしら?」
私 「それなら後1000万円くらいですね」
Aさん「わかったわ。それで買ってちょうだい」
私 「え!グロソブだけ1000万円でいいんですか?
他にも分散するとかは・・・」
Aさん「安定していて、これだけ毎月もらえるならグロソブだけでいいわ」
私 「わかりました」
こんな会話が2005年あたりは非常に多かったのです。
これは運用会社の用意したグロソブの基準価額と純資産の推移です。
赤いラインがいわゆる運用成果なのですが、途中まで右肩上がりに上がっていっているのがわかると思います。
上で挙げた会話が繰り返されるほど、安定した値動きをしていたことがよくわかると思います。
それを表すように、下の山になっているグラフはどんどん頂点を上げていっていました。
あくまでリーマンショックまでとはなりますが、毎月分配型投資信託の人気を考える上では必須の説明となるでしょう。
この安定した推移の裏には円安水準を保っていたことがありました。
こちらはドル/円の月足チャートです。
グロソブが設定されてからリーマンショック手前まで多くの時間を円安水準を保つ形でグロソブは過ごすことが出来たおかげで安定運用に繋がりました。
持てば持つほど分配金は大きく、長くもらえることができたので、人気に拍車がかかっていきました。
安心感と毎月分配型投資信託
グロソブの状況説明を続けてきましたが、ここからはまとめになります。
毎月分配型投信が人気になった要因は
- 分かり易さと日本人に合った商品設計
- 毎月分配金がもらえるという投資成果の実感
- 円安水準を維持したことで、パフォーマンスが良かった
- 人気が人気を呼んだ
こういったことが挙げられることが今回理解できたかと思います。
投資はリスクを取ってリターンを得ることを基本としますが、投資初心者はリスクがなく、リターンを得ようとするので、安心感はキーワードになります。
この点の毎月分配型ファンドの強さはピカイチと言えるでしょう、
しかし、実際グロソブで運用するより、パフォーマンが良かった投資信託はゴロゴロありました。
もっと言えば、グロソブで利益の取れた投資家は、他の商品ではもっと利益が取れたわけです。
そういった点からも人気が人気を呼んで販売が伸びている商品は、買いやすいかもしれませんが、もっと中身を見るべきですし、投資においてはもっと良い商品は無いかと探すスタンスで考えないといけません。
当ブログでは、そういったものの探し方などもテーマに扱っていきますので参考にして下さい。
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